西武グループ経営改革委員会(委員長=諸井虔・太平洋セメント相談役)は28日、グループ中核会社のコクドを分割し、西武鉄道と合併させる案を柱とする再建案の中間報告をまとめた。合併後の新会社は、最大2000億円の増資を行う方針で、プロ野球の「西武ライオンズ」の売却も検討している。資本増強と経営刷新でコクド大株主の堤義明・前会長の影響力を薄めるねらいだ。新会社の社長には、主取引銀行のみずほコーポレート銀の後藤高志副頭取が就く。
再建案では、7月以降をめどに、コクドをホテルやレジャー事業を手がける事業会社と堤家の個人資産などを管理する会社に分割し、事業会社を西武鉄道と合併させる。あわせてコクドの100%子会社のプリンスホテルも新会社に合体させ、経営の効率化を図る。堤氏は個人資産管理会社の株主として残る。
あわせて、新会社には主力3行や投資ファンドなどを引受先とする1500億〜2000億円の増資を実施する。不良資産の売却と合わせ、約1兆4000億円あるグループの有利子負債を1兆円以下に削減する計画だ。改革委は3月の最終報告に向け、堤氏との交渉を本格化させる。
改革委は3月の最終報告に向け、堤氏との交渉を本格化させるが、同氏は「体調不良のため、2月末まで1カ月間、検討の期間がほしい」との意向を示したという。
改革委はいったん、新しい持ち株会社を設立し、その傘下に西武鉄道とコクドを抱えて再編する案を固めていた。しかし、グループの主力銀行などから、巨額の負債と赤字事業を抱えるコクドを再建するには、大幅な増資が必要となるとの見方が浮上。優良資産の多い西武鉄道と合併させる案に傾いた。
事業再編では、グループの約160施設を収益性などを基準に分類。海外や国内のリゾートホテルを中心に約40施設が撤退や売却などの検討が必要と結論づけた。
諸井委員長は、西武ライオンズについては「来季以降の問題だが、良い買い手が現れ、我々も納得すれば成立するだろう」と売却を検討していることを明らかにした。
西武鉄道の小柳皓正社長は同日付で辞任し、新体制が発足するまで、同日付で副社長に昇任した石橋正男常務が社長代行を務める。新会社の会長に国土交通省OBの平野直樹氏を起用する人事案も決め、後藤、平野両氏は2月1日付で西武鉄道の特別顧問に就任する。
(01/29 01:02)
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