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あなたの知らない裏社会の病巣を暴露

真夜中のインターネット

第28回 SNSや“お友達系ブログ”で増加する「ネット内引きこもり」

佐橋慶信
2007年8月21日更新
自分の部屋に閉じこもり、ほとんど外出せず、外の世界と接触しない…。それがいわゆる「引きこもり」だが、ネットの世界にも自分の世界から一歩も外に出ない「引きこもり」が増えつつある。そんなネット内引きこもりを「ネッキー」と名付けてみた。
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かつてインターネットは
開かれた世界だった

 インターネットが普及し始めたころには、この新しい電子ネットワークが可能にする、夢のようなコミュニケーション世界が熱く語られていた。だれでも簡単に、世界中どこにいても自由に情報を発信することができ、その情報は国や地域を越えた世界の隅々にまで届く――そういったバラ色のイメージだ。

 事実、現在のインターネットは、当時想像していたとおりの、あるいはそれ以上の広がりを見せていると言える。人々は常時接続のブロードバンド回線を手に入れ、自宅のPCから、あるいはケータイのフルブラウザから、どこでもネットを楽しめる。いつでもどこでもだれでも、全世界に向けて情報が発信できるようになったわけだ。

 このようなネット環境は、自分の部屋に閉じこもる「引きこもり」な人々の生活をも快適にした。日用品から電化製品まで、欲しいものは何でもネット通販でそろう。オンラインゲーム(ネトゲー)やチャットなど、遊びにも事欠かない。運と能力にさえ恵まれれば、自室に引きこもったままでお金を稼ぐこともできる。ネットさえあれば、外出したり、外のリアル社会と交流する必要などないというわけだ。

 さて、今回筆者が取り上げたいのはこうしたリアル社会での「ヒッキー」(引きこもり者を指す呼称)のことではない。「ネットの上の引きこもり」のことだ。

開かれたインターネットは
めんどくさい?

 インターネットが普及し始めたころ、その世界では顔も名前も知らない人々と交流することが普通だった。メーリングリストや掲示板といっただれでも参加できる場を通じて、見知らぬ他人とコミュニケーションを図る。ネットの外では一度も会ったことがない人と話がはずみ、「顔なじみ」になるようなこともしばしばだった。

 ところが、携帯電話に電子メール機能が組み込まれたころから、ネットの使われ方は少しずつ変化し始める。電子メールのやり取りは、限られた友人や知人だけを相手にするものとなり、ネット経由のコミュニケーションが「閉じた」ものへと変わってきたのである。

 例えば、現在の高校生男子ならば、ケータイの利用目的は電子メールが8割、電話が2割といったところだろう。その電子メールのやり取りの相手は、電話と同じくほとんど友達か顔見知り、つまりリアル社会での知り合いとオーバーラップするというわけだ。特に、ケータイメールの世界はその傾向が顕著となる。

 もちろん、匿名掲示板やオンラインゲーム、そして出会い系サイトなど、見知らぬ人との交流を目的としたサイトもまだまだ人気がある。しかし、「ネットで見知らぬ人と出会ってみたい」という欲求はパワーダウン気味で、むしろ「そういうのってめんどくさい」と感じる人が増えつつあるのではないだろうか。

ネット内で濃縮された
“甘い関係”に引きこもる人々

 筆者周辺のさまざまな年齢層の人に聞いてみたが、最近、特にネット上での行動は、見ず知らずの人とコミュニケーションを持つよりも、仲間内だけの落ち着ける場所での交流を充実させる傾向に傾いているようだ。

 例えば、個人でブログを持つことがはやっているが、多くの場合その内容は「世界に向けて発信したいメッセージ」というよりも「友達にウケがよさそうなネタ」「知り合いどうしだけがわかるような発言」といった、閉じ気味のものが多い。だれでも読めるブログなのに、まるで“お友達系ブログ”とでも言いたくなるような雰囲気だ。

 また、SNSは典型的な「友達関係圧縮型ツール」である。友達の日記だけを読み、友達だけに日記を公開する。友達からのコメントに一喜一憂し、そうしていつしか自分自身のための日記ではなく、友達との交流のための日記と化してしまう。

 坩堝(るつぼ)の中で水分が飛ばされるかのように、人間関係がより濃縮されていくのがお友達系ブログであり、SNSである。それが悪いことだとは言わないが、舌触りのよいものだけ、歯ごたえのない食べ物だけを食べ続けているような、無菌室で培養されたような、ちょっとそういう不健康な雰囲気を感じてしまう。

 筆者は、こうした“甘ったるい”人間関係の行き着く先が、ネット内引きこもりではないかと推察する。ネットの上のヒッキーなので「ネッキー」とでも呼ぶことにしようか。

あなたはいくつ当てはまる?
「ネッキー」度チェック

 「ネッキー」は、ネット上で新たな友人を作りたくない、今の人間関係で充足している人々のことを指す。そのために、ネット上でも閉鎖的なコミュニティに引きこもるわけだ。

 せっかくなので筆者はここで10項目の「ネッキー度チェックリスト」を作成してみた。いくつ当てはまるか、皆さんも試してみていただきたい。

(1)1日に何度も電子メールを交換する相手がいる
(2)しばらくSNSで友人を増やしていない
(3)できれば議論は避けて通りたい
(4)友達が何をしているかが気になる
(5)書くことより読むことのほうが多い
(6)有料のオンラインゲームは毎日必ずチェックする
(7)ケータイで通話するのはビジネスのときだけ
(8)「Twitter」と「Skype」は日常の必須ツールだ
(9)自分は誉められて力を発揮するタイプだと思う
(10)電子メールが届かない友達とは疎遠になってしまった

 5つ以上に当てはまる方は、かなり“ネッキー的傾向”の強い人だと思われる。

 では、この「ネット内引きこもり」を回避する方策はあるだろうか。まず第一に、毎日のネット滞在時間をなるべく減らしていくこと。特に、日常生活で引きこもりがちな場合は、ネットの上でも同様に引きこもる傾向がある。飲み会でもOFF会でもサークル活動でも何でもよいので、社会参加の機会を生かすことが大切だ。

 次にネット上でも、意見の合わない人との面倒な議論だとか、見ず知らずの相手とのやり取りだとかいったものを避けて通らないこと。そのためには、あえて自分から、積極的に発言やコメントを行うように動いてみるとよい。具体的に言うと、口コミサイトなどへの投稿、友達以外のブログへのコメント、掲示板などへの書き込みなどによって、見知らぬ人とコミュニケーションする能力をリハビリする。発言に責任を感じることの少ない匿名掲示板への投稿で肩慣らしするのも悪くない。

 元来、友達を大切にする人が「ネッキー」になりがちなのだから、「ネッキー」は決して悪いことではない。ただ、インターネットの持つ可能性を自ら放棄してしまうわけで、度を越してしまうともったいないと思うのだ。

NETWORKWORLD 9月号(2007年7月18日発売)掲載

第1回 ネット保管庫「アップローダー」

第2回 背筋も凍る死後の世界

第3回 ウイルスバスター事件に見る自動アップデートのわな

第4回 mixiのなぞ

第5回 ブロードバンド中毒…あなたは大丈夫ですか?

第6回 自殺サイトの功罪

第7回 ブログ時代の選挙

第8回 JMネット事件

第9回 のまネコ問題に見るネット発「パクリ」検証

第10回 CCCDがセキュリティホールに?米ソニーBMGのXCP問題

第11回 ブログやmixiで情報漏えい!?

第12回 食い尽くされるネット社会スパムを滅却せよ

第13回 ポッドスラービングと「Winnyを使わないで」発言

第14回 Web 2.0時代の迷惑な電子メールたち

第15回 顔の見えないGoogle

第16回 Computex Taipei 2006で感じた新時代のITイベントのあり方

第17回 ブログの書籍化とアフィリエイトのわな

第18回 あなたも感染している?インターネット症候群に要注意!!

第19回 「炎上する」ことはいいことだ!?

第20回 「オークション次点詐欺」に要注意

第21回 ネット犯罪から子どもを守る インターネットリテラシー教育

第22回 アニメ、漫画、音楽、映画… 知的財産の保護について考える

第23回 まもなくインターネットにも高齢化の波が押し寄せる?

第24回 「ネットで何でも買える時代」の見えない個人消費

第25回 検索エンジンの寡占状況を打破するのはだれか?

第26回 mixi日記やブログがあなた自身に襲いかかる日

第27回 デジタルコンテンツ時代にふさわしい著作権の姿

第28回 SNSや“お友達系ブログ”で増加する「ネット内引きこもり」

第29回 ネットにあふれるもうけ話 「情報商材ビジネス」のすごい裏側

第30回 テレビとネットのゆがんだ関係

第31回 ネット・リテラシーの必要性を考える

第32回 「デジタルデバイド」はココロの中に

第33回 インターネット終了? 著作権法改正は是か否か

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