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あなたの知らない裏社会の病巣を暴露

真夜中のインターネット

第14回 Web 2.0時代の迷惑な電子メールたち

佐橋慶信
2006年6月20日更新
「Web 2.0とは技術ではなく態度なのだ」…などと言われても、今ひとつ何のことだかわからない。しかし、新しい時代を反映してか、最近のチェーンメールやスパムはますます巧妙化している。今回は「ダークサイドのWeb 2.0」について考えてみよう…。
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Web 2.0ってなんだ?
ポイントは「参加」と「貢献」

 「Web 2.0」ということばが、最近あちこちで聞かれるようになった。とはいえ、「Web 2.0って何ですか?」と聞かれて、明確に答えられる人はまだ少ないのではないだろうか。筆者も、最初は何のことだかさっぱりわからなかった。「2.0」と言っているが、具体的に何らかのシステムのバージョンを指すワケではなく、IEEEやらISOなどの規格というワケでもない。

 Web 2.0は、米国のティム・オライリー氏が提唱した理念である。はっきりとした定義があるわけではないが、インターネットれい明期の「壁新聞」的な一方通行のサービスではなく、WindowsなどのOSと同じように、コミュニケーションプラットフォームとして動作する現代のWebのことを総称する理念である、らしい。

 要は、一昔前に比べてWebが格段に便利になり、あたかもバージョンアップしたかのごとくなので、総称して「Web 2.0」と呼ばれているようである。

 さて、ここでは複雑なWeb 2.0の技術論や定義論は置いておくが、ユーザーサイドから見ると、Web 2.0は「ユーザー参加型」や「貢献型」というのがポイントになっているように思う。今流行のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログはユーザー参加型の典型だし、ショッピングサイト「Amazon」のカスタマーレビューなどは、「貢献型」の代表的な例と言えるだろう。また、昨今は匿名でのネット生活が行いにくくなっており、実名でのID登録などが主流となってきている。仮名や匿名が淘汰されつつあることも、Web 2.0時代の特徴と言えるかもしれない。

暴力団に殺される!? 小中学生を
ビビらせたチェーンメールとは

 さて、このような「Web 2.0化現象」はますます加速する傾向にあるのだが、アンダーグラウンドの世界でも、同じような傾向が見受けられている。そこで今回は、ダークサイドのWeb 2.0化について紹介していこう。

 数か月前に、一部の小中学生を恐怖のどん底に陥れたチェーンメールをご存じだろうか。全文を引用するのは控えるが、大体次のような内容だった。

 あるところに仲のよい新婚夫婦がいた。ある日、奥さんが風邪をひいてしまう。旦那さんは奥さんのためにオムライスを作ろうと卵を買いに行くが、何時間経っても帰宅しない。やがて警察から奥さんに電話があり、「ご主人がなくなられた」という。「通り魔にガソリンをかけられて焼死した」というのだ。奥さんは悲しむが、いつまで経っても警察は犯人を捕まえられない。そこで奥さんは暴力団「山口組」(原文ママ)に1億円で犯人殺害を依頼。この電子メールを回さないと、犯人と認定されて組員が殺しに行く…。

 …というような内容である。なお、文面は「わたし(奥さん)」の一人称でつづられている。

 こうやって要約してみると、実に陳腐なチェーンメールに思える。しかし、オリジナル版にはそれなりに臨場感のあることばが使われており、筆者の周囲の小中学生は過剰に反応していた。

 さて、全国のちびっ子を震わせたこのチェーンメールには、なかなかおもしろい特徴があった。従来のチェーンメールは荒唐無稽な内容のものが多かったのだが、このチェーンメールは(少なくとも子どもをだますには十分の)、現実味のある調味料で味付けされていたのである。前提となる「焼死」や「1億円の依頼料」というのは少々現実離れしているが、「奥さんの風邪」「オムライスの卵」などなど、あちこちにリアルな単語がちりばめられている。また、ここが従来とは大きく異なる点なのだが、メール本文の末尾には、連絡先の住所、電話番号、メールアドレスなども署名されていたのである。

 もちろんこれまでも、きちんと署名されたチェーンメールは幾つか存在した。だが、このチェーンメールほどの迫力は感じられなかった。圧倒的なリアル感を演出しているのが、「山口組」という実在の広域暴力団の名称を臆面もなく使うセンスだろう。

 ちなみに、署名されている電話番号に電話してみると、クルマ関係の業者にたどり着く。もちろん電子メールの内容とは何の関係もない業者である。すべてが架空ではなく、実在する住所や電話番号を記載しているという点が、このチェーンメールにある種の威厳を与えているように思う。これぞWeb 2.0時代のチェーンメールと言えるのではないだろうか。

小説も真っ青のどんでん返し
Web 2.0時代の巧妙スパム

 スパムも負けてはいない。近年は長文でストーリー性のあるスパムが流行しているが、最近はさらに理解を超えた展開を見せるものが登場している。

 最近のスパムでおもしろかったのは、「8年前から想っていたけれど、そのとき自分は人妻、ようやく最近離婚したので、今度こそ付き合ってほしい」という内容のスパムだ。筆者は「メモリアルスパム」と名づけたのだが、「今でも同じ下田パレス501に住んでいます」と言われても、一体何のことだかわからない。実はこのスパムは「連続モノ」になっており、2回目に「先日は宛先をまちがえてました。ごめんなさい」という内容の文面が届き、3回目に「せっかくの機会なのでよかったらお友達に…」と続く。突っ込みどころは満載なのだが、新たな切り口のスパムであり、なかなか楽しませてもらった。

 さらにおもしろかったのは、「今日は電気の日」という紹介から始まるスパムだ。実は、3月25日をほんとうに「電気の日」と言うらしいのだが、そのスパムでは冒頭に電気の日に関する簡単な説明が入っている。一体何の案内メールかと思ったら、次に「電気を使うより身体を使いませんか?」と続き、「どのデートがお好み?」というアンケートが入って、最終的には出会い系サイトへ誘導するようになっている。このスパムなどは、教養メールとアンケートメールが合体し、さらに内容も過激すぎず、かなり「巧妙度」が高いと言える。絶対に専門のライターが背後に存在しているはずだ。

 ライターの存在を感じさせるという意味では、ある女性事務員が「あなた様に女性をご紹介」するという内容の連続スパムもおもしろかった。女性事務員が毎日何人かの女性を紹介してくれるのだが、同じパターンの文面が何日か繰り返されたあと、何とその女性事務員当人が「個人的にあなたに興味が出てきました」と切り出してくるのである。さえない女の子なのに、メガネを外したら超絶美人でした…というような、少女漫画的なご都合主義なのだが、筆者も含めた世のおじさんたちは、この手の展開に弱い。もちろん筆者は、スパム上のURLをクリックしたりはしないけれど、背後にいるライターの実力を計りながら、「Web 2.0時代のスパムだねぇ君は…」と、一人つぶやくのである。

NETWORKWORLD7月号(2006年5月18日発売)掲載

第1回 ネット保管庫「アップローダー」

第2回 背筋も凍る死後の世界

第3回 ウイルスバスター事件に見る自動アップデートのわな

第4回 mixiのなぞ

第5回 ブロードバンド中毒…あなたは大丈夫ですか?

第6回 自殺サイトの功罪

第7回 ブログ時代の選挙

第8回 JMネット事件

第9回 のまネコ問題に見るネット発「パクリ」検証

第10回 CCCDがセキュリティホールに?米ソニーBMGのXCP問題

第11回 ブログやmixiで情報漏えい!?

第12回 食い尽くされるネット社会スパムを滅却せよ

第13回 ポッドスラービングと「Winnyを使わないで」発言

第14回 Web 2.0時代の迷惑な電子メールたち

第15回 顔の見えないGoogle

第16回 Computex Taipei 2006で感じた新時代のITイベントのあり方

第17回 ブログの書籍化とアフィリエイトのわな

第18回 あなたも感染している?インターネット症候群に要注意!!

第19回 「炎上する」ことはいいことだ!?

第20回 「オークション次点詐欺」に要注意

第21回 ネット犯罪から子どもを守る インターネットリテラシー教育

第22回 アニメ、漫画、音楽、映画… 知的財産の保護について考える

第23回 まもなくインターネットにも高齢化の波が押し寄せる?

第24回 「ネットで何でも買える時代」の見えない個人消費

第25回 検索エンジンの寡占状況を打破するのはだれか?

第26回 mixi日記やブログがあなた自身に襲いかかる日

第27回 デジタルコンテンツ時代にふさわしい著作権の姿

第28回 SNSや“お友達系ブログ”で増加する「ネット内引きこもり」

第29回 ネットにあふれるもうけ話 「情報商材ビジネス」のすごい裏側

第30回 テレビとネットのゆがんだ関係

第31回 ネット・リテラシーの必要性を考える

第32回 「デジタルデバイド」はココロの中に

第33回 インターネット終了? 著作権法改正は是か否か

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