三菱自動車は２８日、新たな経営再建策を発表した。昨年５月に発表した再建策では立ち直れず、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行の三菱グループ３社が計２７００億円の増資を引き受け、融資を含めた新支援額は５４００億円に達する。前の再建策の４９６０億円との合計は１兆円を超え、支援企業の負担はさらに巨額に膨らむ。重工は出資比率を１５％まで高め、三菱自を連結対象会社とし、再建支援での主導権を明確化する。

　同日付で常務から昇格した商事出身の益子修社長が「全身全霊を尽くして頑張りたい」、会長兼務となった西岡喬・重工会長は「リコール（無償回収・修理）問題で信頼を失ったことを忘れることなく、グループの総力を結集したい」と、東京都内のホテルでの記者会見で語った。

　新再建策は増資以外に日本政策投資銀行からの融資５００億円など金融機関による融資枠２７００億円も設定。前の再建策公表後も過去の欠陥車問題による極端な販売不振に苦しみ、増資で得た資金も、金融機関による５００億円以上の融資回収や、販売店支援に増資資金が消えた。このため、新たな再建支援を仰ぐことになった。

　収益拡大策では他社との提携を広げ、「自立再生」をうたった前回の再建策の自力再建路線から転換。ＯＥＭ（相手先ブランドによる生産）では今夏から日産自動車に軽乗用車「ｅＫワゴン」を年３万６０００台、０７年度からプジョーにスポーツ用多目的車（ＳＵＶ）「エア・トレック」を年３万台供給し、工場の生産効率を上げる。すでに提携している中国・湖南長豊汽車とのＳＵＶ生産の新会社設立も検討する。

　当初計画で０６年度に３６万３０００台としていた国内販売計画は、欠陥車問題の影響で２４万２０００台に下方修正。世界販売目標も前回より２３万台少ない１４７万６０００台とした。

　０５年３月期の業績見通しも下方修正。三菱ふそうトラック・バス株売却をめぐる独ダイムラークライスラーへの和解金や北米と豪州事業の減損処理など特別損失２１５０億円を新たに計上し、連結決算の当期赤字が当初見込みの２４００億円から４７２０億円になる見通しだとした。 (01/28 21:19)