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教育ルネサンス

生かす図書館の力(9)

[読者の声]月曜、祝日 なぜ休む?

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学校図書館の本が足りないため、町の図書館から本を借り出す学校司書。図書館の充実は全国各地の課題だ

 図書館の貧相な実情に、読者から批判や提言が相次いだ。

 三重県四日市市の学校図書館に司書を派遣している企業を紹介した記事(9月21日付)には、特に多くの投書が寄せられた。

 兵庫県の女性(55)は「学校図書館には、学校のあらゆる教育を支える重要な役割がある。週に1回で、それができるとは思えません」と手厳しい。

 愛媛県の女性も「司書がいるといっても、週1回の派遣でどれだけの効果が出せるのでしょうか」と疑問を投げかける。本来は「官が責任もって司書を配置すべきでしょう」とはもっともな主張だ。

 一方、公共図書館に司書として外部から派遣されている横浜市の女性からは「外部委託のメリットはやはりサービス向上。開館時間の延長、祝日も開館するなど、使いやすくなったのでは」という投書を頂いた。

 図書購入費が少ない、専任の司書が置けないという学校図書館は多い。その理由として自治体の多くが財政難を挙げる。

 司書ボランティアとして大阪府内の学校図書館で働く女性は「司書教諭はクラス担任を兼務し、実質働いているのはボランティア。高給の先生方との落差に限界を感じることもあります」。長野県の女性(41)も「村の小学校には臨時採用の司書教諭が1人いるだけで、授業で不在になることが多い」と、ボランティア頼みの現状を記した。

 無償奉仕で図書館を支える人たちが多いのは心強いが、その善意に甘えっぱなしの自治体も多い。その中で、「安かろう悪かろう」では困るが、独自予算を充てた四日市市の試みは、評価されてもいいのではないか。

 閉館時刻が早いうえ、閉館日も多い公立図書館の実情を紹介した記事(9月23日付)には、近隣図書館への不満をつづった投書が多かった。

 東京都の女性(21)は、教育実習で母校に帰った時に感じたことを記した。この町の図書館は中学校の隣にあるが、午後5時に閉館。部活の生徒は使うことができない。しかも部活が唯一休みの月曜が休館日だ。女性は「本を読まない子供が増えているというなら、休館日をずらすべきだ」と憤る。

 学校が催しなどで作る代休は月曜に集中する。それなのに「図書館の休館日が月曜日というのは策がなさすぎる」と埼玉県の女性。24時間開館の図書館を紹介した記事(9月28日付)には、北海道の女性から「うらやましい。公務員の考え方が遅れている所は祝日に休み。信じられますか」

 図書館に蔵書が少ない実情を伝えた記事(9月27日付)には「読み終わった本を寄贈しようとしても断られます。古くなった本と交換するなど有効利用の方法がある」(岡山県の女性)、「古い本をバザーで売り、そのお金で新しい本を買えばいい」(千葉県の男性)という提案があった。

 しかし、寄贈本を、図書館で利用するにはフィルムで包装したり、バーコードをつけたりするのに1冊数百円から1000円かかる。逆に、大量購入する新刊本は、フィルム包装などを流通業者が行い、価格も割り引かれることが多い。

 破棄する古本を無料で利用者に配る図書館は多い。だが、破損したり汚れたりした本がどれだけ売れるかは期待できない、と図書館関係者は見る。

 ただ、改めて、大胆な発想で知恵を絞ってみる必要はありそうだ。

(2005年10月4日  読売新聞)

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