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F1 開幕第2戦

 F1世界選手権が開幕2戦を終えた。トヨタが久々の4位入賞を果たした。ホンダとアグリ・ホンダにも明るさは見える。(小島雅生)

日本勢 復調の手応え

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 第2戦マレーシアGP(3月23日)でのトヨタの走りは、表彰台への期待を大きくさせた。

 上位2選手のペナルティーで予選5位のヤルノ・トゥルーリは3番手からスタート。終始、安定した速いペースを保ってゴールした。4位は2006年の第10戦以来の好成績だ。

 「前を行くマクラーレン・メルセデスについていけた。我々は強くなっていると実感する」。トゥルーリは手応えを強調する。

 マシンは新型車TF―108。「決勝の連続走行でペースが上がらない」と昨年はチーム首脳が頭を抱えていた。その弱点が克服されつつあるのは大きな進歩だ。ミスなく走れれば、表彰台は届く位置にいる。

 ただ、1戦ずつを制したマクラーレン、フェラーリとは、「まだ1周0秒5の差がある」(山科忠チーム代表)。悲願の7年目の初優勝は簡単ではない。

 ホンダは2戦を終えて無得点。低調なスタートにみえる。だが、冬の合同テスト走行では最下位近辺のタイムに甘んじていた。そこからは大きく好転した。

 「序盤は8位以内の入賞を目指したい」。元フェラーリの敏腕技術ディレクターだったロス・ブラウン新代表が開幕前に掲げた目標には届きつつある。

 第2戦で10位のジェンソン・バトンは「開発の方向は正しい。次戦に向けた2週間が重要だ」と前向きな姿勢を見せる。

 アグリ・ホンダも無得点。しかし、チームのスーパーアグリが資金難で参戦自体が危ぶまれたことを考えれば、上々のスタートだ。

 テスト走行が出来ない状況で、豪州GP(3月16日決勝)に臨んだ。佐藤琢磨も「今は出来ることを全部やるだけ。苦しい状況は仕方ない」と歯を食いしばって走った。

 英国の企業マグマ・グループが経営に参画し、チームの体制は安定した。ミスを最小限に抑え、荒れたレースで得点を狙うことが必要になる。その意味で第2戦で2台とも完走したのは、大きな収穫だ。

 開幕戦で6位入賞を遂げた中嶋一貴(ウィリアムズ・トヨタ)は第2戦では一転、苦戦した。チームメートのニコ・ロズベルクは「将来の王者候補」ともいわれる逸材だ。比較されるプレッシャーは大きい。

 しかし、古豪チームは中嶋の総合力を評価している。ニコを意識しすぎることなく、自分のペースで戦い続けたい。

 シーズンは全18戦。始まったばかりだ。日本チーム、ドライバーには確かな上昇気流をつかんでほしい。第3戦バーレーンGPは6日に決勝が行われる。

(2008年4月3日  読売新聞)