YOMIURI ONLINE
現在位置は
です

本文です

親の葬儀費用が心配

 20歳代男性会社員。妻、2歳の子どもと暮らしています。最近知人の親が亡くなり、親の葬儀について考えるようになりました。

 私の両親は60歳代後半、年金で質素な生活をしています。以前親から「自分たちが死んだら葬儀はちゃんとしてくれ」と言われたことがあり、今も頭から離れません。

 ただ、実家には貯蓄が全くないそうです。両親にはこれまで世話になったので、立派な葬儀をしたいのは山々ですが、実家の経済状況を考えると、難しいと思います。

 私の家庭も何とかやり繰りしている状態で、親の葬儀費用をためる余裕はありません。実家には兄がいるのですが、アルバイト暮らしで、貯金はありません。親類は少なく、それも疎遠なので、頼ることはできません。

 両親が亡くなったとき、借金してまで葬儀をすべきなのかどうか、一人で頭を抱えています。(神奈川・E男)

 お葬式に高額な費用がかかるのではないかとご心配のようですが、葬儀やお墓に対する考え方は、昔と随分変わってきました。昔は「家」の格式とか、その地域の慣習に従い、一定の形式で葬儀が行われていました。でも今は、家族や親しい人だけの簡素な式にするとか、宗教によらず音楽を流すお別れ会にするなど、形式にとらわれず、故人にふさわしい見送り方をする例が増えているようです。

 葬儀は、世間体よりも、集まった方たちと心を込めて悲しみを分かち合いながらお別れできるものにすべきだと思います。借金をしてまで、見えを張って派手にする必要はありません。

 ご両親は、どんな葬儀を望んでいるのでしょうか。最近は、自分らしく逝きたいと、葬儀に関する希望を書き残しておく方も多いと聞いています。これには法的な効力はないのですが、親類や周囲の人を納得させる効果はあります。

 費用が心配なら互助会を利用して積み立てる方法もあります。折をみて、ご両親のお考えを聞いておいたらいかがですか。

 (土肥 幸代・弁護士)

2007年12月13日  読売新聞)

現在位置は
です