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3月2日付 編集手帳

 日立や東芝の労働組合でつくる電機連合の委員長、中村正武さんが、大学院卒が多い開発・設計職の働き方や処遇を見直さなければ、日本のものづくりは危うくなると、盛んに訴えている◆「きつい、きびしい、帰れない」の新しい3Kと言われ、プラス1で「結婚できない」のKもある。「ここが高付加価値を生み出す源泉。多くの人材が集まらなければ、どんなに産官学の連携を叫んでも世界に対抗できない」というのだ◆中村さんが危機感を持つのには、大学入学志願者の深刻な工学部離れがある。1990年代前半は60万人以上いたが、昨春は約27万人にとどまった。文科系と比べて学生生活や就職後の賃金、昇進に魅力がないからだという指摘がある◆電機連合が作った「理工系離れが進む理由」の表が興味深い。製品のブラックボックス化で内部構造がわからなくなり、少年期から、ものづくりに触れる機会がない。企業に入ってからは、新技術に追いついていくのが大変だ◆「プロジェクトX」の(かな)しさ、という項目もある。このNHKテレビの人気番組には多くの技術者たちが登場したが、現役を退いた後の「遅すぎる評価」だった◆嘆いていても改まらない。電機連合は経営側とも協力し、子どもたちを対象に全国展開でものづくり教室をやろうと準備を進めている。

2008年3月2日01時44分  読売新聞)
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