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大学狙うパソコン盗、19校で被害

 東大や早大など東京都内の有名大学の理工系学部でパソコンが盗まれる事件が相次ぎ、警視庁捜査3課で調べたところ、大学を狙った同様の手口のパソコン盗が全国で続発していたことがわかった。

 2006年9月の熊本大に始まり、次第に東へ。都内を含め19大学計245台の盗難が確認された。同課は大掛かりな窃盗団による犯行との疑いを強めており、各県警と情報交換しながら捜査を進めている。

無施錠研究室に高額機種

 都内では昨年12月から今年2月にかけ、被害が連続発生。慶大医学部(新宿区)で12月2日朝、患者の情報などが入ったノート型パソコン16台が盗まれたのが始まりで、翌3日朝には、東大農学部(文京区)で19台が持ち去られたことが判明。さらに先月9日朝には早大理工学部(新宿区)で14台がなくなっていたなど、盗難は都内だけで6大学計76台に上った。

 これらの事件は、休日や深夜に誰もいない研究室に侵入、プリンターや無線LANの関連器具までごっそり持ち去るなど手口が共通しており、同課は同一グループによる連続盗難との見方を強めた。

 さらに大学を狙ったパソコン盗難事件が起きていないか、他県警に照会したところ、“第1号”と見られる事件が、熊本大(熊本市)で06年9月に起こっていることがわかった。

 その2か月後の06年11月には神戸大(神戸市灘区)で同様の盗難が発生。それ以降は、京大大学院人間・環境学研究科(京都市左京区)、徳島文理大香川薬学部(香川県さぬき市)、神戸薬科大(神戸市東灘区)、岡山理科大(岡山市)、名古屋大(名古屋市千種区)と、近畿と隣県を行ったり来たり。

 中でも岡山大(岡山市)は半年の間に工学部や研究所など5か所に侵入され、計33台を盗まれている。

 理工系学部の研究室は学生らが実験などで夜昼、日曜もなく使うのが普通で、自由に出入りできるようカギが掛けられていないケースが多い。一方で、データ処理能力が高い機種など高額のパソコンを置いており、窃盗犯はこうした状況につけ込んだとみられる。

 これまでパソコン内のデータや個人情報が悪用、流出した形跡はなく、同課は転売目的とみて流通ルートについても調べを始めた。

 事件は先月18日、都内から飛び出し、筑波大(茨城県つくば市)で発生。同課は窃盗団が犯行の拠点をさらに東日本側へ移す可能性もあるとみて警戒している。

(2008年3月8日  読売新聞)