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主要教科の授業1割増…新学習指導要領案

 文部科学省は15日、主要教科の授業を1割以上増やすことなどを柱にした小中学校の学習指導要領改定案を公表した。

改定案公表「ゆとり」前の水準

 現行の指導要領が掲げた「ゆとり教育」で学力が低下したとの批判にこたえることが狙い。小学校は2011年度、中学校では12年度から実施されるが、算数・数学と理科は一部を先行実施し、09年度から授業増に踏み切る。現行の指導要領で削減した学習内容も復活させ、算数・数学と理科は、小中の9年間で15%程度増える見込み。

 「ゆとり」重視の象徴とされた「総合学習」は、小学校で週3コマが2コマになるなど、小中ともに削減。指導要領の全面改定は1998年以来で、授業時間が増えるのも約40年ぶり。同省は一般の意見を募集し、来月末に告示する。同時に改定する幼稚園教育要領は09年度から完全実施、高校の指導要領案は秋ごろ公表する。

 今回の改定案は、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が1月に出した答申に沿って策定された。

 現行の指導要領に引き続いて「生きる力の育成」を基本理念に掲げる一方、指導要領は最低基準であると明記し、学校の裁量でレベルの高い内容を教えることも可能にした。

 授業時間は、小学校が1、2年で週2コマ(1コマ45分)、3〜6年は週1コマ増え、6年間で278コマ多い5645コマになった。中学も3学年とも週1コマ(1コマ50分)増え、3年間では105コマ多い3045コマとなる。

 増えるのは国語、算数、理科、社会などの主要教科で、小中ともに1割以上の増となった。

 これによって、小学校では、算数と理科がほぼ「ゆとり」以前の水準に戻る。中学も数学と外国語が「ゆとり」以前とほぼ同じとなり、理科は大幅に上回って現行の33%増となる。小学校の英語活動も5年生から必修となり、週1コマが充てられる。

 現行の指導要領で削減された学習内容のうち、小学校算数の「台形の面積」や社会の「縄文時代」、中学数学の2次方程式の「解の公式」などが復活。小学算数で「円周率は場合によって3にできる」とした規定は誤解を招くとして削除した。道徳の教科化は見送られた。

 2002年度に実施された現行の指導要領は、「ゆとり教育」を掲げ、自ら考える力を重視するとして学習内容を3割削減した。しかし学力低下を招いたとの批判が高まり、中央教育審議会も答申の中で「授業時間を減らしすぎた」などと異例の総括をしていた。

 [指導要領改定案の骨子]

 〈1〉小中学校で国語、算数・数学、理科などの主要 教科の授業時間を1割以上増

 〈2〉前回改定で削減した学習内容を一部復活

 〈3〉総合学習の時間を削減

 〈4〉小学5年からの英語活動を必修化

 〈5〉道徳の教科化見送り

(2008年2月16日  読売新聞)