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勉強で泣きわめく小6息子

 40代女性。小学校6年生の息子のことでご相談します。日ごろから息子には、「現実社会は今でも学歴社会である」「将来豊かな生活を望むのであれば、日々の勉強が大切である」と伝えてきました。4年生くらいまでは、毎晩つきっきりで勉強を見てきました。

 息子は今も自分から勉強はするのですが、少しでもわからないことがあると、泣きながら、わめき散らします。わからないことを、他人のせいにもします。

 「学校に行きたくない」「何もしたくない」と言うので、「そんなにつらいなら、勉強はしなくていいから」と答えるのですが、「それはできない」と言います。

 したくない勉強をしなければ将来がないと、私が思わせてしまったのでしょう。子どもの幸せを願いながら、苦しめているバカな親です。このままでは精神的に参ってしまうのではと心配です。今後どう接していけばいいのでしょうか。(東京・T子)

 中学進学を目前にして、息子さんも緊張しているのでしょう。必要以上にナイーブな心境に追い込んだのは、あなたのこれまでの言動に原因の一端があるように思います。でも、どの親も似たようなことをしたり言ったりするものです。人生の豊かさは必ずしも学歴で決まるものではありませんが、わが子ともなると追い立てたくなるのも親心です。

 あまり自分を責める必要はありませんが、息子さんがなぜいらだつのか、その原因がお分かりでしょうか? あなたが急に方針転換をして、勉強を否定するような言動をしているからです。本心から勉強しなくて良いと思ってはいないのに、息子のいらだちにおびえ、態度を豹変(ひょうへん)させた母親に対する怒りを表しているのだと思います。

 息子さんが強迫観念的な勉強観から解放されるには、学ぶことの本当の喜びを知ることです。小6の勉強ともなると、親にとっても難しい問題が少なくないでしょう。父親や母親が一緒になって、頭を抱えながら、分からないことにじっくり取り組む時間を大切にしていくことが必要です。

 (大日向 雅美・大学教授)

2007年1月22日  読売新聞)

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