YOMIURI ONLINE
現在位置は
です

本文です

娘2人 来ては家事に難癖

 60代主婦。夫は亡くなり、一人暮らしです。

 娘が2人います。2人とも父親は好きでしたが、だらしない私のことは嫌いだそうです。時々訪ねてきて、家事に文句をつけます。「茶わんが汚れているのがわからないの?」と洗い直しをさせられ、「片づけがなっていない」と指摘されます。

 「家事ができないお母さんを持って恥ずかしい」「家の中をきれいにできない人間に生きている価値はない」とまで言われます。悔しくて涙が出ます。

 確かに私は整理が下手です。仕事をしていたので、家事を手抜きしてきたのも事実です。でも家のローンもあり、家計は大変だったのです。体も丈夫な方ではなく苦労しました。

 今、体は歩けないほどではなく、友達を家に呼びお茶を飲んだり、カラオケをしたりするのが楽しみです。でも、娘たちが来ると針のむしろです。将来動けなくなったら、娘たちの風当たりがますます強くなりそうです。そうなれば民生委員と介護サービスを頼りに暮らしていこうと思いますが、私の考えは間違っているでしょうか。(茨城・J子)

 家事ができない母を持って恥ずかしい、家の中をきれいにできない人間に生きている価値はない、とまで言う娘さんたちに私などそこまで言うかと思いますが、我が妻などに聞いてみると、女同士親子は割と言葉ではズバズバ言い合うものとのこと。そういえば、我が姉も母親に息子の私などが言えないようなことを言っていたなと思い出します。

 そんな私でも、娘さんたちの言うことはいちいち気にせず無視して、むしろそんなに言うなら家に来ないでくれぐらい言ってはと思います。

 体もまだ歩けないほどではなく、友達もおられるようです。これまで夫や娘さんの知らないところで苦労されてきたのですから、しばらく一人でゆっくりされてはどうでしょう。将来を考えれば不安になるのもわかりますが、もし動けなくなった時、娘さんたちが言葉通りの冷たい態度をとるなら、その時は民生委員や介護サービスに頼ることを考えればいいと思います。

 (大森 一樹・映画監督)

2006年12月18日  読売新聞)

現在位置は
です