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結婚せかす両親に不満

 30代会社員。長男の私は、親の期待に沿うようまじめに生きてきたつもりです。幼いころから、酒癖の悪い父に母が暴力を振るわれる姿を見てきたため、母の立場が悪くならないように行動してきました。

 親の束縛や干渉は強く、学生時代は、帰宅が遅くなる部活動もあきらめ、女性との交際もできませんでした。今好きな女性がいるのですが、アプローチの仕方もわかりません。

 最近弟が結婚しました。両親に「お前もいい女性はいないのか?」と聞かれました。弟は私とは対照的に、部活動も恋愛も自由にしてきました。私は長い間、親のことを考え、したいことをあきらめてきたのに悔しくなります。結婚できないのが悪いように言われ、何のために生きてきたのかわからなくなりました。

 長男なので、今後も親の老後の介護などは私がしなければならないでしょう。両親と弟から、都合のいいように使われ、不公平な扱いを受けているように感じます。ご助言をお願いします。 (千葉・R男)

 あなたは長男として親の期待に沿うように頑張ってきたのですね。でも、親はたいていは勝手。限界のある存在なのです。私などもそうですが、その時々で、ああもこうも言います。自由を縛っておいて、一方では自立を強要します。

 「お前もいい女性はいないのか?」は軽口で、30過ぎの独身の息子のほとんどが、親にそう言われた経験があると思いますよ。

 あなたは親の言うなりできた自分を否定していますが、誠実さ、優しさ、ナイーブさ、正直さ、いろんな美点をはぐくんでこられたように思います。

 もう、親にこだわることはないと思います。いい子を通したあなたは、すでに親孝行は済んでいると思いますし、あなたの方から、一度、親を突き放し、親を乗り越えていく心積もりになってはいかがでしょう。 今の時代は、親の老後の面倒は長男だけの責任ではありませんし、結婚だけが人生のシアワセでもありません。あなたは、あなたのペースで、このまま自分らしく生きていけばいいのだと、私は思います。

 (久田 恵・作 家)

2006年12月5日  読売新聞)

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