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赤ちゃんの粉ミルク、70度c以上で…細菌に対応

粉ミルクの調乳、70度以上を勧めることに決定

 粉ミルクに混入する可能性がある致死性の細菌による乳児への感染を防ぐため、厚生労働省は、調乳する時に細菌が死滅する70度以上のお湯を使うよう勧める注意書きを母子手帳に新たに記載することを決めた。

 乾燥に強い菌を粉ミルクから完全に除去することは難しいため、世界保健機関(WHO)の推奨に従い、来月配布分から明記する。各メーカーも市販品に注意書きを表示し始めている。

 この細菌はエンテロバクター・サカザキと呼ばれ、環境中のさまざまな場所にいると考えられている。健康な赤ちゃんには、ほとんど問題ないが、超未熟児や病気の乳児などに感染すると脳髄膜炎などを発症。約2割が死亡することが知られている。

 粉ミルクは、お湯で調乳し、授乳時に約40度に冷まして飲ませる。調乳温度は、誤って十分に冷まさずに飲ませた際にやけどの危険があるため、50度前後で行うよう指導されてきた。海外では粉ミルクなどを通じた感染がこれまで73人報告され、うち27人が死亡した。国内でも数年前に粉ミルク以外からとみられる初の感染例が見つかっている。

 厚生労働省の研究班(主任研究者=五十君(いぎみ)静信・国立医薬品食品衛生研究所室長)は「この細菌は乾燥に強いため、粉ミルクなどの中でも生存できるが、病原性は比較的低く、国内で市販されている粉ミルクに混入している程度の菌数では発症しない。しかし、低い温度で調乳し、その飲み残しなどを5〜6時間室温で放っておくなどすると、菌が増殖し、感染する危険がある」と指摘している。業界大手の明治乳業では「製品に含まれる菌数については厳しい安全管理をしており、基本的には問題ないと考えている」としている。

2008年3月8日14時05分  読売新聞)
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