YOMIURI ONLINE
現在位置は
です

教育ルネサンス

一覧
本文です
検証 学校5日制

(6) 「土曜活動」親も参加

写真の拡大
手軽なゲームで楽しめる「松庵わくわくサタデー」(5月19日)=上甲鉄撮影

 体験活動の充実には保護者の身の丈にあった支援が欠かせない。

 児童数49人の静岡市立清沢小学校から車で5分。小さな棚田に子供たちの歓声が広がった。16日の土曜、同小児童の父親で作る「清沢てんぐの会」が、子供たちに田植えや自然観察をさせていた。

 参加者は子供約20人と大人約10人。棚田に手で苗を植える指導をするのは地元の農家の人だ。車に分乗させて子供たちを運んだ父親たちは、一定の間隔で苗を植えるために縄を持って作業を手伝った。

 会の発足は2年前。小学生の子を持つ消防団員6人が「父親の立場で子供のために」と話し合った。会員は30、40代中心に約50人。

 「出来ることを出来るときに」が基本だ。ワイヤロープを張ってターザンごっこをしたのは、林業のメンバーが所有する山。ガソリンスタンドを経営する代表の尾崎行雄さん(45)が、取引先から譲ってもらったタイヤのチューブを浮輪にして川下りをしたこともある。

 尾崎さんは土曜の午後には仕事に戻る。「仕事を犠牲にしているという意識はありません。子供から元気をもらってプラスになる」

 昨年度までは、文部科学省の「地域子ども教室」事業の補助を受けて年26回、活動をした。今年からは手弁当での活動になり、回数は17回に絞る。だが、尾崎さんは「地域の皆で子育てしようという気持ちは変わりません」と力を込める。

 東京都杉並区の松庵小学校の体育館では、5月19日の土曜、月に1度の「松庵わくわくサタデー」の催しが行われていた。参加者は低学年の児童53人と保護者18人。チーム対抗で、おたまにピンポン球をのせて走るリレーをしたり、保護者が両手を伸ばして作るアーチの下を歌を歌いながらくぐり抜けたり。ゲームは手軽にできるものばかりだ。

 わくわくサタデーは、PTAと地元の松庵町会、学校で作る委員会が運営している。保護者らが中心となって2003年2月にスタートした。

 委員の保護者らはこの日も、体育館の昇降口で受け付けをする係や、ゲームで使うボールを用意する係など、裏方に徹した。小学2年の長男を持つ関根めぐみさん(41)は、委員の1人。「企画する側にいながら、子供と一緒に楽しんでいます。活動を続けることで保護者同士の連携も深まります」と意義を語る。

 「背伸びせず、身の丈に合ったことをしています」と元PTA会長の鎌田あつ子さん(59)も言う。これまでの活動は、地域の電器店の協力で、テレビや冷蔵庫を分解して仕組みを学んだり、すし屋の板前が魚をさばくところを見たり。本好きの保護者たちがきれいに整理した学校の図書室も、土曜日は開放。親子で一緒に読書もしている。

 保護者らが、できる範囲で協力して子供たちの週末の活動を支える。長く続けるコツは、そのあたりにあるようだ。(野口賢志、大垣裕)

 高い小学生の保護者関与 日本PTA全国協議会が昨年実施した小中学生の保護者3866人への調査では、学校週5日制でPTAが行った取り組み(複数回答)は、「子供を対象に行う体験活動や学習活動等への協力」19・1%、「土日の子供の過ごし方や活動の広報や情報提供」18・6%、「PTA独自の親子イベントや行事、各種プログラム」18・6%など。いずれの項目も小学生の保護者の方が中学生より5、6ポイント高かった。

2007年6月26日  読売新聞)
現在位置は
です