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2007年2月13日

選択的夫婦別姓に寛容さを


スタッフと打ち合わせする山下美穂子アナ(中央)と鈴木記者

 内閣府が1月末に発表した世論調査によると、夫婦が別々の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓制度について、法改正容認派が前回調査から減少し、賛否がほぼ拮抗(きっこう)する結果が出たという。これを受けて、法務省は、選択的夫婦別姓を可能とする民法改正案をただちに国会に提出する状況にはないとみているそうだ。

 夫が長男、私が一人っ子の我が家では、2年前の結婚に際し、戸籍上は私が夫の姓に変わった。姓を変えたくないのはお互い様。選択的夫婦別姓制度がない現状では、どちらかが譲らない限り、法的に結婚が成立しないからだ。

 仕事上は通称使用を決めていたので、名刺も原稿の署名も旧姓のまま。公文書の名字が変わるだけという程度の認識だった。

 しかし、日常生活で戸籍名を使わなくてはならない場面は意外に多いのだ。保険証もパスポートも戸籍名。特にパスポートは、制度上は「両姓併記」があるにもかかわらず、「生命にかかわる場合などに限られる」として適用してくれない。なじまぬ姓を呼ばれて、違和感を覚えることが多い。

 「では夫の姓に替えれば」という意見もあろう。だが、私は結婚まで40年間旧姓で生き、仕事をしてきた。旧姓を捨て去ることには、なんとも言えない抵抗感と違和感があるのだ。

 冒頭の世論調査を伝える本紙記事は「家族の一体感を重視する傾向が強まっていることが一因と見られる」との分析を載せている。

 しかし、同じ名字を名乗ることだけが、家族の一体感につながるのだろうか。フランスのように、ユニオン・リーブルという内縁関係を税金などの面で、結婚と同様に扱う制度を導入して、うまく機能させている国もあるではないか。

 こうでなくては駄目、と決めつけるのでなく、多様な生き方に、もう少し寛容な社会でもいいと思うのだが。

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