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2006年7月25日

子供が楽しめる桃太郎侍


桃太郎侍について語る高嶋政宏さん

 「恐れず、迷わず、青空のように」は、山手樹一郎の時代小説の主人公が、物語は違っても、座右の銘として口にする言葉である。

 その言葉のように、気持ちよく突き抜けた時代劇が、テレビに登場する。きょうから始まる山手原作の「新・桃太郎侍」(テレビ朝日系、火曜午後7時)。高橋英樹主演で人気を博したドラマの復活版である。

 主役の「桃太郎」を演じるのは、高嶋政宏。武士の暮らしを嫌い、浅草の矢場に居候しているが、腕は立ち、庶民をいじめる「鬼」を退治していく。

 とにかく、斬新である。

 普段の桃太郎は、マザコンで無類の女好きという、「イタリア男」のような設定。女性が「後家」と聞けば興奮するし、母上(中村玉緒)を抱きしめ、ほっぺにチューまでしてしまう。

 この性格付けの狙いについて高嶋は、「スーパーヒーローではない、桃太郎の人間くさい部分を出したいから」と話す。

 殺陣も、整然とした従来の時代劇とは一線を画し、「刀を持った刑事ドラマ」(高嶋)といった様相だ。「鬼退治」場面では、「天魔不動剣」なる、特撮ヒーローものの武器のような名前の剣まで登場してくる。高嶋いわく「『変身忍者 嵐』などのヒーローものも意識した」とのことで、特撮ファンの私としては、ちょっとうれしくもある。

 こうした新たな取り組みの背景にあるのは高嶋やスタッフの「子供に時代劇を見てもらいたい」という思いだ。若年層の時代劇離れが進む中、「たとえ劇画的、漫画的と思われてもいい。子供たちに時代劇の楽しさを知ってほしい」と高嶋は語る。

 子供たちを巻き込む犯罪が多発する時代に、25年ぶりに復活する桃太郎侍。高嶋桃太郎が、どう「天に代わって鬼退治」をしてくれるのか。時代のもやもやを吹き飛ばす、「青空のような」活躍をお願いしたい。

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