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2006年6月20日

少子化は「男性の問題」


斉藤まりあアナ(左)と、小道具のカレーをつつきながら打ち合わせする鈴木記者。結婚や家庭についても語り合う

 合計特殊出生率が1・25と過去最低を記録したことで、少子化をめぐる論議が活発化している。

 経済的支援や長時間労働是正といった「働き方の改革」など、国も様々な対策を打ち出そうとしている。

 しかし、私はなんとも居心地の悪さを感じる。

 そもそも、国の少子化対策の背景には、年金制度など社会の仕組みを維持するためには一定数の子供が必要、という考え方がある。これではまるで、子供が部品のようではないか。

 産みたいのに経済的事情や社会環境で産めない、という人のための制度整備は、その人たちの幸せのために必要であり、どんどん進めるべきだ。だが、「数を増やさないといけない」から始まる議論には、それが誰の幸せのために必要か、という視点が抜け落ちていないか。

 さらに、少子化が「女性の問題」として扱われることにも違和感を覚える。私はあえて、少子化は「男性の問題」だと主張したい。男性「も」育児に参加すべきで、働き方を見直すべき、という議論にとどまるのでなく、果たして男性が、子育てのために現在のライフスタイルを変えたいと思っているかが知りたい。

 つまり、「不夜城」の霞が関に勤務する官僚が自宅に戻って子供と晩ご飯を食べ、国会議員は夜の会合をやめて子供を風呂に入れ、会社員は残業も「付き合い」もやめて子供と遊ぶ。それが可能か、ではなく、そういうライフスタイルの変化を男性が望むのか、ということである。育児のほとんどを妻任せにしている夫が8割以上、という調査結果を見ると、はなはだ疑問なのだが……。

 いくら国がかけ声をかけても、「変えたい気持ち」がなければ、何も変わらない。ライフスタイルを変えて子供を持つことが幸せと思うかどうか。「否」である人が多い結果の少子化なら、仕方ないとも思えるが。

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