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鈴木美潮のどんな
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2005年7月12日

「ヒーロー歴」を隠すな!


7月いっぱい、「donna」は、15階にある「マイスタジオ」からの放送。ガラス張りのスタジオでの放送は、逆光との戦いです。

 「俳優Xの取材で、彼が演じたヒーローの名前を出すのはNGといわれた」「ヒーローを演じた俳優特集で、俳優Yの写真を借りようとしたら、所属事務所に断られた」

 雑誌やテレビ関係者からよく聞く話だ。XもYも、特撮ヒーローに変身する役を演じたのが、実質的なデビュー。さらに、昨今の特撮イケメンブームに乗り、その役でブレイクのきっかけをつかんだ。

 彼らだけではない。映画やテレビで活躍中の何人ものヒーロー出身俳優が、ヒーローを演じた過去を隠している。

 背景にあるのは、ヒーロー番組が長年、「ジャリ番」と言われ、業界内で不当に低く扱われてきた歴史だ。「子供番組出身というと(業界内で)バカにされる」「役の幅が狭まる」というのが、隠ぺいの理由のようだ。

 理屈はわからないでもないが、1人の特撮ファンとしては、「ヒーロー歴」を汚点のように隠されることが、腹立たしく、悲しい。一緒に仕事をしたスタッフや、ヒーローに熱中した子供たちへの裏切りでは、とも思う。そもそも、その役を演じなかったら、今日の彼らはなかったかもしれないではないか。さらに、以前と違い、ヒーローを演じた事が必ずしもマイナスに作用するとは言えない時代なのだ。

 もちろん、彼らにとって、ヒーロー役も仕事の一つ。思い入れを持てとまでは思わない。でも、隠すことはないではないか。彼らの出演映画のポスターを見上げつつ、腹立ちを抑えられないのである。

「ジャリ番」「ジャリ」は子供の俗称で、子供向け番組の、映像業界内での差別的な言い回し。スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーなどの特撮ヒーロー番組は、主に子供を対象に作られていることから、こう呼ばれてきた。

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