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獣医師7人中4人退職 宮崎市保健所

 宮崎市保健所の獣医師7人のうち、4人が職場環境などを理由に今月までに退職したか退職予定であることがわかった。治療技術など専門知識を生かせないなどの理由で、他県の行政機関などへ流出しているという。同市保健所では、動物愛護法違反容疑で課長ら4人が書類送検されたばかり。市は「動物愛護行政を推進し、獣医師の技術や専門知識が生かせるよう努めたい」としている。(大石健一)

 宮崎市によると、同市は中核市となった1998年度に市保健所を設立、01年度から獣医師の採用を始め計7人を採用した。しかし05年度から3人が相次いで退職した。

 4日の市議会一般質問で鈴木一成議員(政友会)が今月にもう1人退職者が出ることを把握したうえで、「(保健所職員から)『異常な職場』という声を聞く。なぜこのような状況になるのか」と質問。所長や書類送検された課長が県の派遣職員であることなど、生え抜きの管理職が少なく職場の士気が上がらないことが、退職者が多い理由になっている可能性も指摘した。

 退職者を知る関係者によると、4人のうち3人は県外の自治体に就職したか、就職予定。

 宮崎市には市民から届けられた動物の収容施設がないので、獣医師は引き取った動物を殺処分する施設に送ることしかできず、治療法などの知識を十分に生かせないという。

 また、保健所の業務は多岐にわたるが、分担が厳密でなく、獣医師が狂犬病予防法や動物愛護法に関した業務に専従できず、その日の成り行きで食中毒の担当になるなど専門性を生かせていないのが現状という。

 鈴木議員の質問に対し、金丸健二総務部長は「経験豊富な獣医師を県に派遣要請している。今後も採用や人材育成に努めていきたい」と答弁。関屋裕幸健康管理部長は「時間外、休日勤務を改善するため、時間外業務を民間委託するなど、職場環境の整備にも努めてきた。技術や能力が生かせるよう努めていきたい」と述べた。

 鈴木議員は、県への依存度が高いとして「中核市になって10年間、力を蓄えなかったのか」と疑問視した。

2008年3月6日  読売新聞)
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