よみうり入試必勝講座 WITH河合塾




2008年2月1日号 
問題解答への手引き解答例PDF
今月の問題レベル・想定時間・解答字数
問題レベル ★★
想定時間 90分
解答字数 800字

今月は、応用レベル!
*問題レベルの見方 ★★基礎、★★応用、★★★発展
問題
今月の担当は「ツボイはま子」です。よろしく。
問題 次の文章を参考に、あなたなら大学で具体的にどのような国際貢献に関わりたいと考えるか、またその理由は何か、あわせて800字以内で述べなさい。

 関西学院大総合政策学部4年有田和生さん(21)は昨年6月から約3か月間、フィリピンのマニラで、現地の高校生らがパソコンを簡単に操作できる教材ソフトの開発に取り組んだ。UNITeS(国連情報技術サービス)の活動に参加。旧式の機器や停電に悩まされながらも、政府職員らと意見を出し合い、表計算などを初歩から学べるよう工夫を重ねた。「自分が役に立っているという達成感があった。後輩たちも挑戦してほしい」と話す。
 同大学は2003年、国連ボランティア計画(UNV)とアジアの大学で初めて協力協定を締結。翌年から、途上国の情報格差の解消を目指すUNITeSに学生の派遣を始めた。計33人がモンゴルやベトナムなどアジア5か国で3〜5か月間、活動してきた。派遣前には国際教育・協力センターの教員による情報技術(IT)の講習や外務省での研修など半年間のプログラムを実施。学生には30万円の奨学金を支給し、活動を単位として認定する。大鹿薫久(おおしかただひさ)センター長は「実体験を通じて国際的な視野を身につけた学生を育てたい」と語る。他大学にも参加を呼びかけ、将来は活動を拡大していく予定だ。
 大学の人材や「知」を生かし、途上国の貢献に取り組む大学が増えている。学生の国際感覚を磨いたり、研究活動を活性化させたりすると同時に、「国際」をキーワードに大学の取り組みを社会にアピールする狙いがある。
 アラビア半島南端のアラブ世界最貧国イエメン。南西部の高原地帯タイズ州で、神戸大国際協力研究科が女性の就学率をアップさせる事業を進めている。同国の初等教育を受ける女性は半数程度。神戸大は05年、教育研究を支援に生かそうと、国際協力機構(JICA)の「技術協力事業」を民間企業と共同受注した。年に数回、リーダー役の小川啓一教授や大学院生が現地に入る。保護者に意義を説き、学校が女性教員を雇うための資金援助や基金づくりの助言をしている。同様の援助を行う世界銀行や国連児童基金(ユニセフ)との交流が、大学院生の研修受け入れや採用にもつながった。大学院生らは教育政策の研究課題としても取り組んでおり、小川教授は「国際貢献と人材育成、研究が結びついた」と意義を語る。
 近年、途上国支援の主流が従来のダムなど大型開発事業から、学校教育や公害対策、法整備など社会の仕組みづくりに移りつつあることも、大学の国際貢献の場を広げている。JICA国内事業部の松永正英・研修業務グループ長は「日本で当たり前の技術や制度でも、途上国には高いニーズがある。大学は優れたノウハウを蓄積してきた」と期待する。一方で、松永さんは「国際貢献を一部の教員に頼っている大学もある。教育研究に生かすには、大学が組織的に取り組む必要がある」と指摘する。
 国際協力を重要戦略と位置づける立命館大。00年から、政府開発援助(ODA)や国際協力銀行の円借款の枠組みを使い、大学幹部や若手官僚らの研修、大学の新学部設立の助言など、アジア・太平洋地域への貢献事業を進めている。鈴木元・国際戦略本部事務局長は「営利とは関係なく様々な分野で貢献できるのは大学だけ。組織的に取り組むことによって、大学の持つエネルギーを最大限に引き出し、支援先と密接な協力関係を築くことができる」と言い切る。

(2007.10.05 読売新聞 大阪朝刊
 [大学・国際戦略](4)人材生かし途上国貢献(連載)
出題にあたり一部段落を改めた)

問題解答への手引き解答例PDF
トップページ 次のページ

yomiuri online 会社案内| サイトポリシー| 個人情報| 著作権| リンクポリシー| お問い合わせ|
YOMIURI ONLINE広告ガイド| 新聞広告ガイド|
見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright © The Yomiuri Shimbun.