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あなたの知らない裏社会の病巣を暴露

真夜中のインターネット

第12回 食い尽くされるネット社会スパムを滅却せよ

佐橋慶信
2006年4月18日更新
4148通…これは2006年1月の1か月間に筆者がGmailで受け取った電子メールの数だ。そして、そのうち2513通、全体の約60%がスパムメールだった。企業では、電子メールの約70%がスパムだという統計もある。もはやスパムは社会問題だと言ってよい…。
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月平均2,500通!!
スパムを何とかしてくれ

 正直言って、毎日毎日泣きたくなる。メールソフトを開くたびに新着メールが届くのだが、そのほとんどは「ゴミ箱行き」に分類されるスパムメールなのだ。

 筆者は仕事柄、メールアドレスをほとんど公開しているようなものなので、ある程度の被害はしかたがないと思ってはいる。それでも、月に2,500通というのはひどすぎるのではないだろうか。もちろん、企業のネットワーク管理者などに言わせれば、この程度は「まだまだ」なのかもしれないが…。

 100歩譲って筆者はよいとしても、問題は子供たちに届くスパムだ。筆者の家では、中学生の2人の子供にも専用のPCを持たせており、それぞれがメールアドレスを持っている。中学生ともなれば、毎晩のようにネットゲームで遊び、チャットや掲示板へ書き込みをしたり、個人ブログをオープンしたりなど、さまざまにネットを使いこなしている。しかたがないことなのかもしれないが、最近は彼らにスパムが届くことも多くなってきた。

 筆者と少し違うのは、海外からの英語や中国語のスパムは少なく、日本語のスパムが多いということだ。そしてスパムの大半を占めるのは、出会い系サイトへの誘導メールである。中学生の女子に対する出会い系へのお誘いメールは、ほんとうにどうかと思う。

「サキコ」さんとは何者!?
巧妙化するスパムと子供たちの関係

 もちろん、筆者も手をこまねいているわけではない。スパムがあまりにひどいので、Windows XP用の常駐ソフトウェア「スパム Mail Killer」で、一定条件を満たす電子メールをPOPサーバから定期的に削除するようにしている。そのうえで、POPファイルを常駐させたマシンを用意しておき、必ずプロキシ経由で電子メールを受け取るように設定してある。

 ここまで対策しても、その網をすり抜けてくるスパムはあとを絶たない。さすがに筆者も、完全ガードはちょっと無理かもしれないとあきらめはじめたところだ。

 困ったことに、最近はスパムの内容もヒートアップしている。中学生が受け取ってしまうと、人生に対してまちがった考え方をしてしまうのではないかと心配になるほどだ。最近の流行は、「女性が料金を支払ってまで男性の愛を求める」という内容のスパムである。妙齢の女性社長が男性を誘うというシチュエーションが多いのだが、正直映画の中でもありえないような話である。

 しかし、毎日何通も同様の電子メールを受け取っていれば、いつの間にかそういう世界に洗脳されてしまうかもしれない。「まさか」と思うだろうが、この手のスパムが一向に減らないことには、それなりの理由があるはずだ。シビアな金銭感覚を持つスパム業者が、効果のない電子メールをだらだらと送信し続けるはずがない。

 ストーリー性のあるスパムも流行している。最近筆者の元には、「サキコ」さんを名乗る女性からの電子メールが100通近くも届いている。内容はサキコさんからの求愛メールの形をとっているが、要はあるWebサイトに登録させようと、必死になって「お願い」しているのだ。「待っています」「来週には引っ越します」などなど、こんなに必死になって自分のことを待っていてくれる女性を邪険にしたら、地獄に落ちるのではないかと思ってしまうほどだ。

 確かにスパム業者から見ると、この手のストーリーがあれば、「引っ掛け率」が高まるのかもしれない。しかし、筆者のようなネットずれした大人はともかく、これだけ巧妙かつ卑劣なスパムを、スパムに不慣れな子供たちに送るのは許されるのだろうか。

 子供でも大人でも、地方でも都会でも、ネットの世界ではすべての人が平等だ。それがネットの長所でもあるのだが、小学生や中学生がHなストーリースパムを受け取っているという現状は、とても看過できない。出会い系の存在そのものよりも、このスパムの影響のほうが、青少年にとってはよほど害悪なのではないだろうか。

ブログ、メッセンジャー、IP電話…
多様化するスパムに対策はあるのか

 筆者のような仕事をしていると、PCの電源を切ることはほとんどない。夜もPCの電源は入れたままで休む。するとどうだろう。次の日の朝には、Yahoo!メッセンジャーがポップアップしてメッセージが表示されている。通称「置きメッセ」というやつだ。内容はもちろん、出会い系へのお誘いである。

 この手のメッセンジャースパムに引っかかる人はあまりいないと思うが、これほど目障りなものもない。デスクトップにいきなりポップアップするので、友達からのメッセージかと思いきや、まったく関係のないスパムなのだ。唐突にポップアップするので、仕事中はもとより、就寝中でもかなりびっくりする。もちろん、子供たちにも見せたくない内容だ。メッセンジャー自体を削除してしまえばよいのだが、さまざまな用途に使っているので、それもままならない。

 ブロガーにとっては、トラックバックスパムやコメントスパムも問題である。対策をしていないブログの場合は、ものすごい勢いでコメントスパムやトラックバックスパムが殺到する。内容はもちろん出会い系の勧誘が多く、「“http://〜”からたどりつきました。わたしもブログを始めたんですよ」という、取ってつけたような女性からのコメントが書き込まれる。削除しても削除しても次々に似たようなコメントが書き込まれるので、最後には無視するしかない。こうやって、普通のコメントと出会い系の勧誘とが入り交じった、おかしなコメント履歴ができあがってしまう。

 米国では、「SPIT(Spam over Internet Telephony)」というスパムが問題になっているらしい。SPITは、正確にはスパムというより、自動音声トークによる営業電話である。IP電話で発信されているというのがミソで、これだとほとんどタダで済むうえ、コンビュータで管理されるので、24時間スパム電話を発信することができる。恐らく、近いうちに日本にも登場するはずだ。

 携帯電話のスパム被害に至っては、もはやここでは説明不要だろう。

 現在では、個人によるスパム対策には限界であると言わざるをえない。せいぜいメールアドレスの露出を控えたり、何らかのソフトウェアを導入したり、スパム仕様にメールソフトを設定したりする程度だろう。ただしこれらは、スパム業者への積極的な対策ではなく、降りかかる火の粉を払う程度の抵抗でしかない。

 昨今は、電子メールの60〜70%がスパムであると言われている。筆者は思うのだが、少なくとも日本語によるスパムの送信元には、行政による制裁が必要なのではないか。一刻も早く、スパム業者や出会い系業者に損害賠償を請求できるような法整備や、行政による経済制裁などが行われてほしいものだ。

NETWORKWORLD5月号(2006年3月17日発売)掲載

第1回 ネット保管庫「アップローダー」

第2回 背筋も凍る死後の世界

第3回 ウイルスバスター事件に見る自動アップデートのわな

第4回 mixiのなぞ

第5回 ブロードバンド中毒…あなたは大丈夫ですか?

第6回 自殺サイトの功罪

第7回 ブログ時代の選挙

第8回 JMネット事件

第9回 のまネコ問題に見るネット発「パクリ」検証

第10回 CCCDがセキュリティホールに?米ソニーBMGのXCP問題

第11回 ブログやmixiで情報漏えい!?

第12回 食い尽くされるネット社会スパムを滅却せよ

第13回 ポッドスラービングと「Winnyを使わないで」発言

第14回 Web 2.0時代の迷惑な電子メールたち

第15回 顔の見えないGoogle

第16回 Computex Taipei 2006で感じた新時代のITイベントのあり方

第17回 ブログの書籍化とアフィリエイトのわな

第18回 あなたも感染している?インターネット症候群に要注意!!

第19回 「炎上する」ことはいいことだ!?

第20回 「オークション次点詐欺」に要注意

第21回 ネット犯罪から子どもを守る インターネットリテラシー教育

第22回 アニメ、漫画、音楽、映画… 知的財産の保護について考える

第23回 まもなくインターネットにも高齢化の波が押し寄せる?

第24回 「ネットで何でも買える時代」の見えない個人消費

第25回 検索エンジンの寡占状況を打破するのはだれか?

第26回 mixi日記やブログがあなた自身に襲いかかる日

第27回 デジタルコンテンツ時代にふさわしい著作権の姿

第28回 SNSや“お友達系ブログ”で増加する「ネット内引きこもり」

第29回 ネットにあふれるもうけ話 「情報商材ビジネス」のすごい裏側

第30回 テレビとネットのゆがんだ関係

第31回 ネット・リテラシーの必要性を考える

第32回 「デジタルデバイド」はココロの中に

第33回 インターネット終了? 著作権法改正は是か否か

第34回 これであなたも時の人?「大炎上のための」8の心得

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