無脊椎魚介ざざむし
- 魚介ざざむしから軟体や外骨格達が分離。
- 戻る
- がん汁
- 地方によって名前はいろいろあるようなので、名前にはあまりこだわらないように。
- いわゆる蟹汁なのですが、これはカニをぐちゃぐちゃに潰して作る吸物(?)です。
- なんだか最近、ざざむしについて勘違いされてるとしか思えない話をよく聞くので、こういうのも載せておこうかなと。
-
- カニを潰して作る汁物にもいろいろあるのですが、個人的にイチオシなのは味噌も出汁も具も入れない塩のみのもの。
- 簡単に作り方を示しましょう。
- まず、必要な食材ですが、元気なカニと塩。これだけです。
- できるならばモクズガニなどの淡水のカニのほうが綺麗にできるのですが、海産のカニでもできないことはないんです。
- 今回記すのは甲長11cmほどの小型のタイワンガザミ9匹とモクズガニ1匹を用いたものです。(3〜4人前)
- モクズは埋まって見えてませんが。
- これらのカニを、臼に放り込んで杵でぐっちゃぐっちゃに潰すのですが、
- 現代一般家庭には臼と杵なんて無いほうが多いので、あたり鉢とすりこぎで代用します。
- さぁ、生臭さが出ないように、カニが元気なうちに潰してしまいましょう。
- オレのために死ね!
- ここで塩20%入れて漬け込めばカニの塩辛に。
- これくらいの状態になるまで潰しましょう。
- 手際よく潰すために、ある程度料理挟みでバラバラにしてから潰すと良いでしょう。
- その際、甲羅をはずした時に砂袋を取り除いておくと尚良いです。
- 海産のカニの場合は海水を吸ってる鰓なんかも取り除いてしまってからのほうが良いです。
-
- ここまで言っておいてナニですが、潰すのはフードプロセッサを使うと楽かもしれません。
- でも私は潰します。
-
- 潰したカニは布巾に包んで搾ります。
- まず1回、鍋を受けてしっかり絞ります。
- 1回では隅々まで搾り切れないので、その布巾をまたあたり鉢に戻し、少量の水を加えて軽く揉み、
- 再び鍋を受けてしっかり絞ります。
- これを3回も繰り返せば、残るのはほぼカニ殻のみとなります。焼いて肥料にでもしましょう。
- でろ〜ん
- とても不味そうですね。
- まるで生臭いセメント汁といった様相です。
- この適度に水の加わったドロドロのカニ液を火にかけていきます。
- ここからが淡水産カニと海産カニで若干差が出ると思いますが、やることはあまり変わりません。
- 温度が上がってきたら、沸騰2歩手前くらいに塩を適宜加えるだけです。くれぐれも入れすぎないように。
- 水に溶けていた蛋白質が塩を入れることで一気に固まって結び付き、カニの花が咲きます。
- この時、決して激しくかき混ぜたりはしないように。
-
- 塩が混ざっていなければ、徐々に温度が上がっていってもなかなか固まらないので、
- 塩を加えた時点で一気に綺麗に花を咲かせることができる訳です。
- だからモクズガニなんかが良いんですが、淡水産モクズガニを用いる場合はウエステルマン肺吸虫の危険性もあるので
- 用いた調理用具はしっかり洗って熱湯消毒することを忘れずに。
-
- そして沸騰したら完成です。
- ふわふわ〜
- 海産のカニでもこの程度には花を咲かせます。
- 食味は、一言で言えば飲むカニです。
- 豊かなカニの香りも、濃厚なカニミソの風味も、全てが溶け込んでいて
- ふわふわとした軽い口当たりの液体が喉をくすぐります。
- 醤油や味噌などの余計なものが入っていないだけに、素材の持ち味が最大限に引き出される料理のひとつではないでしょうか。
-
- はっきり言って、作り方は非常に単純なんだけど、実際に作るのはとても面倒な一品です。
- しかし1度は食べてみることをオススメします。
- 苦労した甲斐があったと思えるはずです。
- カニ達に感謝して頂きましょう。
記 2003.10.11
- ヨコスジヤドカリ&ヤドカリイソギンチャク
- 今回は面倒なのでヤドカリとイソギンチャクを一度に終わらせようというだけの話です。
- それにうってつけなのが彼ら↓です。
- 陸上で転がされるとイソギンチャクが重くて起き上がれない。
- ヨコスジヤドカリとヤドカリイソギンチャクは共生関係にあり、どういうプロセスなのか、
- 大きなヨコスジヤドカリの入ってる貝殻にはヤドカリイソギンチャクがついています。
- まずは、どこの御家庭にもいるヨコスジヤドカリを適宜用意し、10分弱、殻ごと塩茹でしましょう。
- どっちもこのくらいのサイズだといい感じですね。
- 塩茹ですると、容易にヤドカリも引き出せるし、イソギンチャクもぽろっと剥がれます。
-
- ここからは別々にいきましょう。
- ヤドカリ
- 塩茹でしたので、そのまま脚を割ってカニのように食べます。
- 味はエビよりカニ寄りで、正直なところヤシガニより美味しいかも。
- 食べるとこ少ないのは仕方ないですがね。
- ただ、ヤシガニと違うのは腹の部分。
- ヤシガニ同様、中にはクモっぽい香りのする味噌が詰まってるのですが、
- ヤシガニとは違って、くるんと巻いた腹の内側部分に沿ってしっかりと筋肉がついています。
- 貝から離れないための筋肉なのでしょうが、これがエビに似た食感で、美味しいです。
- 小さなヤドカリなんかだと、丸ごと唐揚げにして食べるくらいしか仕方ないですね。
- だから小さいのは労力に見合わないのでオススメはできません。
-
- イソギンチャク
- いままで食べたことあるのは他にはウメボシ、ヨロイ、ミドリイソギンチャクくらい。
- どれも小さくて、熱を通すとなんだかクニクニなものに成り下がってしまい、味がよくわかりません。
- 有明海沿岸ではイソギンチャクの一種をワケノシンノス(若い人の尻の穴)と呼んで食べる習慣があります。
- 熱を通すなり、刺胞をどうにかするなりすれば、大抵のイソギンチャクは食べられるんじゃないでしょうか。
- ただ、スナギンチャクのように命にかかわるような種もあるので触れる際には一応注意を。
- ヤドカリイソギンチャクはそこそこ大きいので、食べるには適していると思います。
- まずは軽く茹でて殻からはずしたイソギンチャクを裏返し、揉んで付着した砂やゴミと内蔵を洗い流せば下ごしらえは終了です。
- 煮物・吸物
- ベーシックに煮物でもよいのですが、全くクセがなく、歯ごたえもなかなか良いので
- 5mm幅に縦切り(←重要)し、ハマグリなどの風味の強い吸物に入れると一層うまさを引き出せると思います。
- ちょっぴりナマコ寄りな超肉厚キクラゲってな感じです。
記 2003.01.16
- アメフラシ
- アメフラシです。
- 水中の写真はそのへんで検索してください
- 知らない人なんているんでしょうか。
- 海の生物としては子供から大人までかなり知名度の高い、ウミウシの仲間です。
- ある意味、悪名高いですよね。
-
- かなり昔、N○K(だったかな?)でアメフラシ料理を見て食べられることを知ったのですが
- 1匹2kgあるような巨大なのが目の前で群れて産卵してるのを見てる限りでは
- とてもじゃないが美味そうに見えなかったし、いつも当たり前にいる生物だったので
- いつでも食べれるからいいや〜
- と思っていたら、あまり獲れないところに引っ越してしまい、食べず仕舞いでいました。
- たまに見かけますが、どうも関東では小さいのしか見かけません。
- 仕方ないので小さいけど獲ってきました。
-
- さて、料理ですが、別段変わったこともないので簡潔に。
- まず、包丁で開いて内臓を掻き出し、よく洗います。
- この時、あの有名な鮮青紫色の液体を激しく噴出すけれど、しっかり洗い流します。
- ここでしっかり洗っておかないと苦味が残ります。
- 3割〜4割が内蔵なので、この時点でかなり軽くなるんだけど、茹でると縮むので
- ちんまり・・・・。
- 調理前の1割くらいになってしまいます。
- だから、やはり1kg以上の大物を使ってちょうどいいと思います。
-
- 茹でたものをスライスして酢味噌で食べます。
- 貝に近い仲間なので、歯触りは確かに貝のような弾力なのですが、表皮がちょっとシャリシャリ感があって変です。
- 風味は磯の巻貝特有の磯臭さが満ちてるのですが・・・・もっと、何か食べたことあるものに似てるなーと
- トイレで考えてたら思い出した。
- 磯のカサガイの内蔵臭と、インスタント味噌汁に入ってるシジミの身を噛んだ時の香りを足して割ったらアメフラシ風味。
- 食えなかないけど、表皮の食感だけは慣れないとダメかもなぁ。
- あえて食うほどのものではないです。
-
- あと、こいつらの卵もウミゾウメンとか呼んで食べる話もありますが
- あれって一応は毒だし、本当に大丈夫なんですかね?
記 2002.12.15
- ヒトデ
- 誰でも知ってる海の生き物ですね。
- 黄色のが標準和名でいうヒトデというやつです。
- 実は既に茹で上がり。
- 彼らはホタテ養殖の有害生物として嫌われ者ですが、実は食べる地方が存在します。
- やたらと大きくなるので、人の顔ほどもある大型の個体ならば焼いても食べられます。
- 焼きも茹でも食べ方は変わらないので、一般的な茹でヒトデを紹介しましょう。
- ぱっくり
- 可食部は磯の香りが強いので、茹でるにあたって塩は入れるも入れないも好み次第です。
- 茹で上げたら、ヒトデの裏側を表にして曲げると、管足の並びに沿って容易にパックリと割れます。
- そこで中から覗く、一見ウニの卵巣のような構造のぷつぷつした物体の塊をスプーンで取り出して食べます。
- 問題の食味ですが、
- 香りは磯の香りが強く、食感は蒸しウニのような感じで、ほろ苦さを含んだカニミソのような風味をもっています。
- どうせ岸に投げ捨てるのならば、たまには食べてみるのは如何でしょうか?
-
- ちなみに、イトマキヒトデも同様にして美味しく食べられるという話なのですが、
- 残念ながら食べたくなるような大きな個体になかなか遭遇しないので、まだ食べたことありません。
- 反面、釣りしてると砂地や泥底ではモミジガイやヤツデヒトデはいくらでもかかってきますよね。
- トゲモミジガイ(歩くの速い)
- モミジは微妙に気色悪いし、ヤツデは8本とか10本とかに分かれてて気味悪いけど
- どっちもヒトデと似たような造りだろうと思って食べてはみたんだけど
- やはり食用としての話を聞かないだけあって、美味くないどころか食うとこすら殆どなかったです。
- モミジガイなんて刺がパキポキ折れて邪魔で仕方ないよ。
- 時期の問題もあるのかもしれませんが、あえて食べるものでもないですね。
- ヒトデにも有毒な種があるので注意も必要です。
記 2002.11.03
-
- ちょうどいいサイズのイトマキヒトデが、食ってくれと言わんばかりにくっついていたので採ってきました。
- いーとーまきまき
- さすがに体高があるので中身もさぞやいっぱい詰まってるんでしょう。
- 早速、茹でて食べてみましょう。
-
- ガーンΣ(゚д゚)
- 内蔵が多くて、卵巣が少な―――――――い!
- こいつも季節によって卵巣の多い旬とかあるのかなぁ?
- 卵巣はヒトデよりもちょっと甘味が強い感じがします。
- 生だったらかなりウニっぽいかも、と思った。
- 内蔵はあんまり食べる気しないんだけど、カニの味噌にまみれた内臓部分の味と殆ど同じ。
-
- ただ、ちょっと喉に刺激があるような気がするんですが・・・・気のせいかなぁ。
- 後で豆乳飲んだら喉が染みた。
- 焼いたほうが美味かったかもしれないので、次回は焼きでチャレンジ。
追記 2002.12.15
- カメノテ
- 今更当たり前のようなもの出すなと言われそうですが、ページいじった時に間違って消してしまってたようなので。
- 年に1回くらいは食べるので、今年も食べたし、せっかくだから前回無かった写真も載せてついでにUP。
- カメの手に似てるからカメノテ
- 節足動物甲殻綱曼脚亜綱までフジツボと同じ、かなり近縁の生物です。
- 磯の岩の隙間なんかに数個〜数十個ずつ固まって付着しています。
- 味はフジツボと同じようなもんですが、こっちのほうが可食部位が軽く3〜4倍はあるので嬉しい食材となります。
- これくらいのサイズのだといい感じ
- 食べ方ですが、茹でても焼いてもいいですが、いい出汁が出るので味噌汁なんかがいいですね。
- 味噌汁の出汁が出ても、身はしっかり味があるので捨てないで食べましょう。
- あと、肉が少ないので剥いてから調理はしないこと。調理してから剥く。
- 食べる際はまず、下部半分が鱗に覆われたような皮に包まれているので、これをくるりと剥きます。(写真参照)
- すると白っぽい身が出てくるので、これをつまんで引っ張ると中身が抜けます。
- ただ、抜いても、先のほうはゴワゴワした触手のような脚しかないので、その部分は捨てます。
-
- 味はいいですよ。
- 珍味にうまいもの無しとか言う人もいますが、これは普通に美味い。
- 食感は貝柱とタコを足したような感じで、噛むと旨味が溢れます。
- 味はエビやカニの風味を持った貝柱という感じの味です。
- だから味噌汁にするとエビのような風味の味噌汁のなりますが、エビほどには自己主張が強くない。
- もっと個体数が多く、容易に繁殖や採集ができるなら一般に流通してもおかしくないなぁと。
-
- んで、恒例のうんちく注意書きですが
- フジツボやカサガイ、アワビウニサザエなんかと同じように磯の生物は採集禁止の場所が結構あります。
- そうでなくともカメノテなんかは一度付着生活に入ると一生移動することができないので
- 採りつくしてしまうと、その地に再び姿を現すのは随分と先になってしまいます。
- だから私も年1回食べるかどうかくらいなんですが、関東に来てみたら極端に磯の付着生物のいない場所が多くて驚きです。
- 食べたい人は食べる分だけ、自然から分けてもらう気持ちで採集しましょう。
- 山菜でもなんでも同じですけどね。
記 2002.09.18
- ヤシガニ
- ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜
- 我が家にヤシガニ君がやってきました。
- 食べられるために。
- キャベツハング
- あまりの存在感とパワーに、すぐ食うのも勿体無く、遊びたおし、
- 風呂場で飼ってたら愛着が涌いて来たので、殺せなくなる前に意を決して鍋へ。
- 以前からパサパサな肉質という噂は聞いていたので、「焼く・蒸す」よりは「茹で」でしょう。
- さらばヤシガニ!
- ごめんよヤシガニ!
- ありがとうヤシガニ!
- ポイ。
- ザクとは違うのだよ
- 見事、ヤシガニアーマーはシャァ専用になりました。
- どこから食ったもんですかね・・・とりあえずカニでいうふんどしの部分でもいきますか。
- 腹の中の液体にはラー油のような赤い油も。
- いきなり産卵孔から2本の長いものがズルズルと出てきますね。
- 一瞬、精巣かと思いましたが、細いけど、よく見た感じでは卵巣っぽい。
- 食ってみてもゴムっぽくて旨くもなんともないね。
- 次いってみよー。
-
- 甲羅を剥いでみる。
- ・・・・・食うとこなさそー(´Д`)
- 陸棲ヤドカリとして大型化してしまったためか、外骨格がブ厚く、内部も殻の占める割合が高い。
- まずは素直にふんどし内のカニミソ様の部分を賞味してみよう。
-
- ・・・・・・・これは・・・・
- TVなんかではカニミソだと言ってるのしか見たことないが、違う!
- 確かにカニミソ同様の風味の部分もあるが、それは1/3くらいだろうか。
- その他の部分は・・・・知っている香りがするのだ。
- そう!
- 茹でジョロウグモの腹の味だ!
- あまりに予想外すぎてガッカリだ。
- かなり濃厚ではあるけど、御世辞にも絶品とは言えないぞ!
- てゆーか、こんな表現はTVのレポーターなんかにゃ真似できねーだろザマァ見ろ!
-
- んで、普通に身の部分を賞味することに・・・・か・・・・殻が・・・・
- 殻がブ厚すぎて、綺麗に中身を取り出すのが大変だ。
- 甲羅とフンドシ以外の大部分の外骨格の厚さが2mmくらいありやがりますぜ。
- やっぱあの大きさを陸上で維持するためには、これくらいないとダメなんだろうな。
- 爪の部分は崩壊して撮影断念。
- 味は普通にカニですな。
- あんましカニ!っつー風味は強くないですが。
- しかも塩茹でしたにもかかわらず、確かにパサつくというか、瑞々しさがなく、
- 甘味も豊かとは言い難く。
-