無脊椎魚介ざざむし

魚介ざざむしから軟体や外骨格達が分離。
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がん汁
 地方によって名前はいろいろあるようなので、名前にはあまりこだわらないように。
いわゆる蟹汁なのですが、これはカニをぐちゃぐちゃに潰して作る吸物(?)です。
なんだか最近、ざざむしについて勘違いされてるとしか思えない話をよく聞くので、こういうのも載せておこうかなと。
 
 カニを潰して作る汁物にもいろいろあるのですが、個人的にイチオシなのは味噌も出汁も具も入れない塩のみのもの。
簡単に作り方を示しましょう。
まず、必要な食材ですが、元気なカニと塩。これだけです。
できるならばモクズガニなどの淡水のカニのほうが綺麗にできるのですが、海産のカニでもできないことはないんです。
今回記すのは甲長11cmほどの小型のタイワンガザミ9匹とモクズガニ1匹を用いたものです。(3〜4人前)
モクズは埋まって見えてませんが。
 これらのカニを、臼に放り込んで杵でぐっちゃぐっちゃに潰すのですが、
現代一般家庭には臼と杵なんて無いほうが多いので、あたり鉢とすりこぎで代用します。
さぁ、生臭さが出ないように、カニが元気なうちに潰してしまいましょう。
オレのために死ね!
ここで塩20%入れて漬け込めばカニの塩辛に。
 これくらいの状態になるまで潰しましょう。
手際よく潰すために、ある程度料理挟みでバラバラにしてから潰すと良いでしょう。
その際、甲羅をはずした時に砂袋を取り除いておくと尚良いです。
海産のカニの場合は海水を吸ってる鰓なんかも取り除いてしまってからのほうが良いです。
 
 ここまで言っておいてナニですが、潰すのはフードプロセッサを使うと楽かもしれません。
でも私は潰します。
 
 潰したカニは布巾に包んで搾ります。
まず1回、鍋を受けてしっかり絞ります。
1回では隅々まで搾り切れないので、その布巾をまたあたり鉢に戻し、少量の水を加えて軽く揉み、
再び鍋を受けてしっかり絞ります。
これを3回も繰り返せば、残るのはほぼカニ殻のみとなります。焼いて肥料にでもしましょう。
でろ〜ん
 とても不味そうですね。
まるで生臭いセメント汁といった様相です。
この適度に水の加わったドロドロのカニ液を火にかけていきます。
ここからが淡水産カニと海産カニで若干差が出ると思いますが、やることはあまり変わりません。
温度が上がってきたら、沸騰2歩手前くらいに塩を適宜加えるだけです。くれぐれも入れすぎないように。
水に溶けていた蛋白質が塩を入れることで一気に固まって結び付き、カニの花が咲きます。
この時、決して激しくかき混ぜたりはしないように。
 塩が混ざっていなければ、徐々に温度が上がっていってもなかなか固まらないので、
塩を加えた時点で一気に綺麗に花を咲かせることができる訳です。
だからモクズガニなんかが良いんですが、淡水産モクズガニを用いる場合はウエステルマン肺吸虫の危険性もあるので
用いた調理用具はしっかり洗って熱湯消毒することを忘れずに。
 
 そして沸騰したら完成です。
ふわふわ〜
 海産のカニでもこの程度には花を咲かせます。
食味は、一言で言えば飲むカニです。
豊かなカニの香りも、濃厚なカニミソの風味も、全てが溶け込んでいて
ふわふわとした軽い口当たりの液体が喉をくすぐります。
醤油や味噌などの余計なものが入っていないだけに、素材の持ち味が最大限に引き出される料理のひとつではないでしょうか。
 
 はっきり言って、作り方は非常に単純なんだけど、実際に作るのはとても面倒な一品です。
しかし1度は食べてみることをオススメします。
苦労した甲斐があったと思えるはずです。
カニ達に感謝して頂きましょう。

記 2003.10.11


ヨコスジヤドカリヤドカリイソギンチャク
 今回は面倒なのでヤドカリとイソギンチャクを一度に終わらせようというだけの話です。
それにうってつけなのが彼ら↓です。
陸上で転がされるとイソギンチャクが重くて起き上がれない。
 ヨコスジヤドカリとヤドカリイソギンチャクは共生関係にあり、どういうプロセスなのか、
大きなヨコスジヤドカリの入ってる貝殻にはヤドカリイソギンチャクがついています。
まずは、どこの御家庭にもいるヨコスジヤドカリを適宜用意し、10分弱、殻ごと塩茹でしましょう。
どっちもこのくらいのサイズだといい感じですね。
塩茹ですると、容易にヤドカリも引き出せるし、イソギンチャクもぽろっと剥がれます。
 
 ここからは別々にいきましょう。
ヤドカリ
  塩茹でしたので、そのまま脚を割ってカニのように食べます。
 味はエビよりカニ寄りで、正直なところヤシガニより美味しいかも。
 食べるとこ少ないのは仕方ないですがね。
  ただ、ヤシガニと違うのは腹の部分。
 ヤシガニ同様、中にはクモっぽい香りのする味噌が詰まってるのですが、
 ヤシガニとは違って、くるんと巻いた腹の内側部分に沿ってしっかりと筋肉がついています。
 貝から離れないための筋肉なのでしょうが、これがエビに似た食感で、美味しいです。
  小さなヤドカリなんかだと、丸ごと唐揚げにして食べるくらいしか仕方ないですね。
 だから小さいのは労力に見合わないのでオススメはできません。
 
イソギンチャク
  いままで食べたことあるのは他にはウメボシヨロイミドリイソギンチャクくらい。
 どれも小さくて、熱を通すとなんだかクニクニなものに成り下がってしまい、味がよくわかりません。
 有明海沿岸ではイソギンチャクの一種をワケノシンノス(若い人の尻の穴)と呼んで食べる習慣があります。
 熱を通すなり、刺胞をどうにかするなりすれば、大抵のイソギンチャクは食べられるんじゃないでしょうか。
 ただ、スナギンチャクのように命にかかわるような種もあるので触れる際には一応注意を。
  ヤドカリイソギンチャクはそこそこ大きいので、食べるには適していると思います。
 まずは軽く茹でて殻からはずしたイソギンチャクを裏返し、揉んで付着した砂やゴミと内蔵を洗い流せば下ごしらえは終了です。
煮物・吸物
  ベーシックに煮物でもよいのですが、全くクセがなく、歯ごたえもなかなか良いので
 5mm幅に縦切り(←重要)し、ハマグリなどの風味の強い吸物に入れると一層うまさを引き出せると思います。
 ちょっぴりナマコ寄り超肉厚キクラゲってな感じです。

記 2003.01.16


アメフラシ
 アメフラシです。
水中の写真はそのへんで検索してください
知らない人なんているんでしょうか。
海の生物としては子供から大人までかなり知名度の高い、ウミウシの仲間です。
ある意味、悪名高いですよね。
 
 かなり昔、N○K(だったかな?)でアメフラシ料理を見て食べられることを知ったのですが
1匹2kgあるような巨大なのが目の前で群れて産卵してるのを見てる限りでは
とてもじゃないが美味そうに見えなかったし、いつも当たり前にいる生物だったので
いつでも食べれるからいいや〜
と思っていたら、あまり獲れないところに引っ越してしまい、食べず仕舞いでいました。
たまに見かけますが、どうも関東では小さいのしか見かけません。
仕方ないので小さいけど獲ってきました。
 
 さて、料理ですが、別段変わったこともないので簡潔に。
まず、包丁で開いて内臓を掻き出し、よく洗います。
この時、あの有名な鮮青紫色の液体激しく噴出すけれど、しっかり洗い流します。
ここでしっかり洗っておかないと苦味が残ります。
3割〜4割が内蔵なので、この時点でかなり軽くなるんだけど、茹でると縮むので
ちんまり・・・・。
調理前の1割くらいになってしまいます。
だから、やはり1kg以上の大物を使ってちょうどいいと思います。
 
 茹でたものをスライスして酢味噌で食べます。
貝に近い仲間なので、歯触りは確かに貝のような弾力なのですが、表皮がちょっとシャリシャリ感があって変です。
風味は磯の巻貝特有の磯臭さが満ちてるのですが・・・・もっと、何か食べたことあるものに似てるなーと
トイレで考えてたら思い出した。
磯のカサガイの内蔵臭と、インスタント味噌汁に入ってるシジミの身を噛んだ時の香りを足して割ったらアメフラシ風味。
食えなかないけど、表皮の食感だけは慣れないとダメかもなぁ。
あえて食うほどのものではないです。
 
あと、こいつらの卵もウミゾウメンとか呼んで食べる話もありますが
あれって一応は毒だし、本当に大丈夫なんですかね?

記 2002.12.15


ヒトデ
 誰でも知ってる海の生き物ですね。
黄色のが標準和名でいうヒトデというやつです。
実は既に茹で上がり。
 彼らはホタテ養殖の有害生物として嫌われ者ですが、実は食べる地方が存在します。
やたらと大きくなるので、人の顔ほどもある大型の個体ならば焼いても食べられます。
焼きも茹でも食べ方は変わらないので、一般的茹でヒトデを紹介しましょう。
ぱっくり
 可食部は磯の香りが強いので、茹でるにあたって塩は入れるも入れないも好み次第です。
茹で上げたら、ヒトデの裏側を表にして曲げると、管足の並びに沿って容易にパックリと割れます。
そこで中から覗く、一見ウニの卵巣のような構造のぷつぷつした物体の塊をスプーンで取り出して食べます。
 問題の食味ですが、
香りは磯の香りが強く、食感は蒸しウニのような感じで、ほろ苦さを含んだカニミソのような風味をもっています。
どうせ岸に投げ捨てるのならば、たまには食べてみるのは如何でしょうか?
 
 ちなみに、イトマキヒトデも同様にして美味しく食べられるという話なのですが、
残念ながら食べたくなるような大きな個体になかなか遭遇しないので、まだ食べたことありません。
反面、釣りしてると砂地や泥底ではモミジガイヤツデヒトデはいくらでもかかってきますよね。
トゲモミジガイ(歩くの速い)
 モミジは微妙に気色悪いし、ヤツデは8本とか10本とかに分かれてて気味悪いけど
どっちもヒトデと似たような造りだろうと思って食べてはみたんだけど
やはり食用としての話を聞かないだけあって、美味くないどころか食うとこすら殆どなかったです。
モミジガイなんて刺がパキポキ折れて邪魔で仕方ないよ。
時期の問題もあるのかもしれませんが、あえて食べるものでもないですね。
ヒトデにも有毒な種があるので注意も必要です。

記 2002.11.03

 
 ちょうどいいサイズのイトマキヒトデが、食ってくれと言わんばかりにくっついていたので採ってきました。
いーとーまきまき
 さすがに体高があるので中身もさぞやいっぱい詰まってるんでしょう。
早速、茹でて食べてみましょう。
 ガーンΣ(゚д゚)
内蔵が多くて、卵巣が少な―――――――い!
こいつも季節によって卵巣の多い旬とかあるのかなぁ?
卵巣はヒトデよりもちょっと甘味が強い感じがします。
生だったらかなりウニっぽいかも、と思った。
内蔵はあんまり食べる気しないんだけど、カニの味噌にまみれた内臓部分の味と殆ど同じ。
 
ただ、ちょっと喉に刺激があるような気がするんですが・・・・気のせいかなぁ。
後で豆乳飲んだら喉が染みた。
焼いたほうが美味かったかもしれないので、次回は焼きでチャレンジ。

追記 2002.12.15


カメノテ
 今更当たり前のようなもの出すなと言われそうですが、ページいじった時に間違って消してしまってたようなので。
年に1回くらいは食べるので、今年も食べたし、せっかくだから前回無かった写真も載せてついでにUP。
カメの手に似てるからカメノテ
 節足動物甲殻綱曼脚亜綱までフジツボと同じ、かなり近縁の生物です。
磯の岩の隙間なんかに数個〜数十個ずつ固まって付着しています。
味はフジツボと同じようなもんですが、こっちのほうが可食部位が軽く3〜4倍はあるので嬉しい食材となります。
これくらいのサイズのだといい感じ
 食べ方ですが、茹でても焼いてもいいですが、いい出汁が出るので味噌汁なんかがいいですね。
味噌汁の出汁が出ても、身はしっかり味があるので捨てないで食べましょう。
あと、肉が少ないので剥いてから調理はしないこと。調理してから剥く。
 食べる際はまず、下部半分が鱗に覆われたような皮に包まれているので、これをくるりと剥きます。(写真参照)
すると白っぽい身が出てくるので、これをつまんで引っ張ると中身が抜けます。
ただ、抜いても、先のほうはゴワゴワした触手のような脚しかないので、その部分は捨てます。
 
 味はいいですよ。
珍味にうまいもの無しとか言う人もいますが、これは普通に美味い。
食感貝柱とタコを足したような感じで、噛むと旨味が溢れます。
エビやカニの風味を持った貝柱という感じの味です。
だから味噌汁にするとエビのような風味の味噌汁のなりますが、エビほどには自己主張が強くない。
もっと個体数が多く、容易に繁殖や採集ができるなら一般に流通してもおかしくないなぁと。
 
 んで、恒例のうんちく注意書きですが
フジツボやカサガイ、アワビウニサザエなんかと同じように磯の生物は採集禁止の場所が結構あります。
そうでなくともカメノテなんかは一度付着生活に入ると一生移動することができないので
採りつくしてしまうと、その地に再び姿を現すのは随分と先になってしまいます。
だから私も年1回食べるかどうかくらいなんですが、関東に来てみたら極端に磯の付着生物のいない場所が多くて驚きです。
食べたい人は食べる分だけ、自然から分けてもらう気持ちで採集しましょう。
山菜でもなんでも同じですけどね。

記 2002.09.18


ヤシガニ
 ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜
我が家にヤシガニ君がやってきました。
食べられるために。
キャベツハング
 あまりの存在感とパワーに、すぐ食うのも勿体無く、遊びたおし、
風呂場で飼ってたら愛着が涌いて来たので、殺せなくなる前に意を決して鍋へ。
以前からパサパサな肉質という噂は聞いていたので、「焼く・蒸す」よりは「茹で」でしょう。
さらばヤシガニ!
ごめんよヤシガニ!
ありがとうヤシガニ!
ポイ。
ザクとは違うのだよ
 見事、ヤシガニアーマーはシャァ専用になりました。
どこから食ったもんですかね・・・とりあえずカニでいうふんどしの部分でもいきますか。
腹の中の液体にはラー油のような赤い油も。
 いきなり産卵孔から2本の長いものがズルズルと出てきますね。
一瞬、精巣かと思いましたが、細いけど、よく見た感じでは卵巣っぽい。
食ってみてもゴムっぽくて旨くもなんともないね。
次いってみよー。
 
 甲羅を剥いでみる。
・・・・・食うとこなさそー(´Д`)
陸棲ヤドカリとして大型化してしまったためか、外骨格がブ厚く、内部も殻の占める割合が高い。
まずは素直にふんどし内のカニミソ様の部分を賞味してみよう。
 
 ・・・・・・・これは・・・・
TVなんかではカニミソだと言ってるのしか見たことないが、違う!
確かにカニミソ同様の風味の部分もあるが、それは1/3くらいだろうか。
その他の部分は・・・・知っている香りがするのだ。
そう!
茹でジョロウグモの腹の味だ!
あまりに予想外すぎてガッカリだ。
かなり濃厚ではあるけど、御世辞にも絶品とは言えないぞ!
てゆーか、こんな表現はTVのレポーターなんかにゃ真似できねーだろザマァ見ろ!
 
 んで、普通に身の部分を賞味することに・・・・か・・・・殻が・・・・
殻がブ厚すぎて、綺麗に中身を取り出すのが大変だ。
甲羅とフンドシ以外の大部分の外骨格の厚さが2mmくらいありやがりますぜ。
やっぱあの大きさを陸上で維持するためには、これくらいないとダメなんだろうな。
爪の部分は崩壊して撮影断念。
 味は普通にカニですな。
あんましカニ!っつー風味は強くないですが。
しかも塩茹でしたにもかかわらず、確かにパサつくというか、瑞々しさがなく、
甘味も豊かとは言い難く。
 
 そして、普通の甲殻類と大きく違うと感じたのはこの点だ。
ぷるんぷるん
 一見すると、ムースのような、脳味噌のようなこの謎物体。
ふんどしや甲羅の内側に5mm近い厚さでびっしりと付着している。
いわゆるカニの場合にもついている蛋白質の塊と同じようなものではないかと思うんだが
別の組織ではないかと思うほどにケタ外れな量の多さだ。
甲羅の中の肉量と同等近くあるのではなかろうか。
 不思議な味で、カニ様な風味を含みつつ、マッタリはしてるんだけど、
どこか微かな渋みのようなものがあって、一口一口の味覚をリセットする感じで
舌にしつこくは絡みつかない。
こりゃなんなんだべさー?
 
〜総評〜
 うーん・・・
確かにこれに4000円払うなら素直にケガニ食うかも。
 
 ちなみに沖縄でヤシガニは最近増えてるらしく田畑に出て農作物を荒らすんだそうで。
しかも、食ってるものによって有毒化している場合があり、
「ヤシガニ食べて一家4人死亡」なんて事故も起きてるくらいだから注意しませう。

記 2002.06.23


セミエビ

 見よこのマヌケづら!
ぽぃ〜ん@
 見ての通り、第2触覚が変なことになってる妙なエビ。
こいつなかなか売ってないんだよね・・・。
数が少ないからか高級だとは聞いてたが、やっぱ高かったわ。
いちばん小さい26cmくらいので4000円だったが、さすがに獲ってこれんので購入。
以前、近縁のウチワエビウチワエビモドキも食べたが、アレとはケタはずれな大きさと肉厚だ。
 だいたい、なんでセミエビなんて名前なのかが謎だ。
セミっぽく。
 そんな訳でセミみたくビール缶にとまらせてみたり。
こいつ、一度掴まると全然離れない意外なパワー持ってますね。
後でまな板にも掴まられて困ったよ。
 
 せっかく活きがいいので尾の身は刺身で賞味することに。(見た目つまらんので写真割愛)
あまりに殻が厚いので、尾部と胸部を分離した後、シャコを剥く位置と同じ尾の両脇を
裏側だけハサミで切り開き、身を取り出した。
思ったよりも透明感は弱く、ピンクがかった肌色のような身色。
取り出した身に刃を当てるとビクビク動いて鮮度のよさを物語る。
 その間に、胸部は体内の海水と肉汁が漏れないよう小鉢で受けて蒸してみた。
 
 刺身試食。
ん。
ん。
これは・・・・・エビだなぁ。
活きがよすぎるエビはイセエビでもクルマエビでも同じだけど舌に絡みつくような甘味には欠ける。
しかし
むりむりむりっ・・・
ぷっぷぷぷぷぷぷつぷつっ!
ぷりっ、ぷりぷりっ!
やはり歯触りは素晴らしいね。
甘味はあくまでも上品透き通った甘味。
 絡みつくような濃厚な甘味が楽しみたけりゃ1時間くらいほっときゃいいだろうけど
時間なかったので、試しに刺身1/3程を蒸したセミエビ肉汁とバターで軽くソテーしてみた。
ウマ―!
悪く言えば「普通になってしまった」となるんだろうが
でもこりゃやっぱデカい生きたエビじゃないとこのふんわり感は得られないよ。
エビ味噌の香りも加わってサイコー。
 
 んで、蒸した胸部。いわゆる頭ね。
オレンジのが卵巣。
 思ったほどエビ味噌は多くないが、それでも大きいからそれなりの量。
身も旨味が強い。
脚はかなり殻が厚く、中の身はさほど大きくないがカニみたいな味だ。
んで、雌だったので卵巣があったが、味も香りもカニの内子と似たようなもんだけど
口の中ではらはらとほぐれる感じや舌触りはエビカニの内子の中では旨いほうじゃないかな。
これで甲羅酒とかあおったらたまらなそうだ。
 
 こいつ、40cm以上のなんてハンマーとか使わないと殻砕けないんとちゃうか?

記 2002.05.23


ウチダザリガニPacifastacus leniusculus

 1930年オレゴン州から摩周湖に移植されたもので、ニホンザリガニの棲息域を圧迫する帰化種です。
ペットショップでは4000円とか6000円とかワケわからん値段で売ってます。
今回食したのは阿寒湖産のもので、阿寒湖漁業共同組合から生きたまま1kg送って頂きました(\1200/kg)。
届いた発泡スチロールが・・・・・・・・・・デカイ。
蓋を開けるとオガクズの中からわらわらと出てくる出てくる・・・・・
情報によれば中サイズが1kgで20匹程と書いてあったのですが
これで中サイズと言われてもね・・・
実際にはこんなのが38匹も入ってました。
一人でこれだけ食えと!?
せっかく活きもいいのでイロイロやってみることにしました。
 
 ウチダザリガニの存在は随分前から知ってはいましたが、
今回電話で取り寄せてまで確かめたかったには理由がありました。
「臭さとは無縁」
そう、エビミソすらも臭みが無いと聞いたからです。
アメリカザリガニで散々イヤな経験をしてる自分にはいくら阿寒湖産とはいえ眉唾だったのです。
 しかし・・・・・百聞は一見にしかず。
やはり味を確めるにはシンプルに茹でるが一番でしょう。
 
茹でウチダザリガニ
爪の肉はカニ爪の歯ざわりに透き通るような味。
ミソは正に
カニミソで、確かに臭さと全く無縁。ほんのりした苦味もあって大人の味。
尾の身や甲羅内壁のタンパク質の塊は食感がエビなのにカニの風味を備えている。
一体なんですかこれは!
ザリガニの味の常識を覆された思いでした。
本では
ハナサキガニに似た味と記されてたが、ハナサキは食ったことないので比べようもありません。
しかし、眉唾だった情報ながらも、今回はヤラレましたね。
嬉しいガッカリです。
地元では
レイクロブスターとか呼んでフランス料理に使ってるそうですが、なるほど頷けます。
阿寒湖ではコイすらも臭さと無縁との話を聞きます。
なんだか信用できてきました。行ってみたいなぁ・・・
 
中華風
 炒め物は見た目はいいけど、身がどうにかなっちゃって味的にウッチーの存在感がイマイチな感。
しかし、スープはいける!
ガラもコンソメも試したけど、負けないでしっかりと自己主張してます。
ニラいっぱい入れても甲殻類な香りがしっかり残ってます。
食えるとこ少ないのにこりゃスゲェや!
出汁が旨い。
 
和風
 和風に海藻と一緒に酢の物にでもしてみました。
なんのことはない、単なるカニ肉と変わりはしませんでした。
いちいち剥いた身を溜めるのが面倒です。
 
洋風
 やっぱザリガニ型の食材があるならこういうのはお約束だよね。
かなり見た目重視。
何がって、美味いんだけど、食いにくい。
結局は手を汚す。
 
 他にも鬼殻焼きとかでもイケそうだけど、面倒なのでヤメ。
全体に嫌な臭みが無いから、潰して溶出する蛋白質を利用して作るカニ汁も応用したら旨いのが出来そう。
 結果、やっぱ茹でるか蒸すかして食うのが手軽で一番だと思うよ。
小さいクセにハサミの身は簡単に先まで抜けるし、雌の尾の身なんて、
アノマロカリスのように横に伸びた殻の中までキレイに抜けます。
エビミソも溢れるほどに入ってます。
現地だと1匹100円くらいで食べられるらしいから、行く機会ある人は食べてみるよろし。

 記 2001.11.02


マテガイ

 二枚貝綱 異歯亜綱 マルスダレガイ目 の二枚貝。
干潟で穴に塩をふって獲るマテガイ採りで有名ですね。
一応は水深20mくらいまで数種が棲息してるようなので、海さえ強度の汚染がなければ
絶滅はしない気もしますが、干潟がなくなる一方な現在からは、一般人が
マテガイ採りの風情を楽しんで食べられるのは近い未来無くなるのではないかと思います。
 今は稀に店で売ってるところも見かけるので、干潟まで行かなくても入手可能ですから
見慣れない姿形に抵抗せず試してみてもいいのではないでしょうか?
 
 食べ方ですが、あの肉質と味ならなんでも合うと思います。
オススメは殻のまま網焼きにしてレモンを絞って食したり、
バター焼きや酒蒸等のベタなあたりでしょうか。
煮貝や刺身でもいけるらしいですが、これはまだ試したことありません。
肉質はしっかりしていて、歯ざわりや歯切れは程よく、足の中にまで内臓が詰まっています。
味はアサリに近い風味を持っているので美味しい貝の部類に入ると思います。
真っ直ぐに細長い貝なのですが、大きさの割には殻が薄くて身が多く、厚さもあり、
更に熱を通しても身が思ったほど縮まないので食べてみると意外にボリュームあります。
しかも構造上、砂を噛まないので砂抜きも必要ありません。
やはりポピュラーになり得なかったのは採り難さからなのでしょうか。
ちょっぴりちんこっぽいのは気にしてはイケマセン。

記 2001.08.05


ヒザラガイ

 防波堤とか磯とかに行くと水から逃げてるんじゃないかと思うような
水面から遠ざかった場所にぺたぺたくっついてるアイツラです。
安易につつくと岩にくっついてとれなくなるし、明らかに普通に食用とされているものとは
異質な外見から、一見していかにも不味そうな印象を受ける人が多いかもしれません。
 しかし所詮は腹足類。多板綱なだけで貝は貝であるからして味の予測はつく。
しかし、なんだか知らんが小さなヒラムシみたいなの(ヒラムシとは海洋性プラナリアみたいなもの)
がヒザラガイの本体上をウロウロしててあんまり食指が動かなかったので生では未だ食べてない。
多分アワビとかに類似した味・食感なんだろうな。
 どうせ熱を通すなら外皮がはがし易いほうがいいだろうと思い、熱湯をかけることで
背部の殻板は容易に手で剥がすことができたはいいが、周囲の石状突起物はさすがに
ナイフで切り取るほかないらしい。
 足の部分だけにしたヒザラガイをバターとバジルで炒めてみたが
なんとも歯ごたえが・・・・・ものすごい歯ごたえが。
普通、アワビの類って熱を通すと柔らかくなるもんだが、なんでこんなに堅いの!?
食えない堅さじゃなくて、食べて旨い堅さだからいいんだけど、ちょっと驚き。
しかし、食べるまでの作業に対する見返りとしてはなんだかイマイチ。
焚き火で塩焼きにしたらどうなのかなぁ?

記 2000.11.02

フジツボ
 そのへんの海に行けば岩とか船とかにくっついてる富士山型のアレです。
貝の仲間と思ってる人も多いみたいですが、一応は甲殻類なので広義でいえば
エビやカニに近い仲間です。
水中では殻の中から脚がワシャワシャと出入りする様が簡単に観察できるはずです。
ドライバーや金ベラ、サパイバルナイフとか適当なもので殻ごと削ぎ採ります。
 エビやカニに近い仲間なだけあって、味もカニみたいなもんです。
肉質はしっかりしてて歯ざわり良くカニ臭さの少ないカニ爪みたいな感じでしょうか。
大きなフジツボは焼いたり茹でたりして、小さなフジツボは殻ごと
味噌汁に入れたりして食べられます。 
 最近は大きなフジツボが2〜3個で500円くらいで売ってたりするくらいで
かなり高級食材の部類に入るっぽいですが、単に需要と供給の問題でしょうね。
 あ、そのへんの海で採って食べるのもいいんですが、フジツボも
プランクトンを食べて生きているので貝毒発生期には同様の貝毒をもちます
場合によってはフグ毒と同じTTXを多量に含むので知識をもって行動しましょう。
あと、工業港のフジツボもあんまり食べたいもんじゃないよね。発ガン怖〜。

記 2000.08.18


ミミイカ
 イカといったら普通はスーパーで売ってるスルメイカを想像する人が多いだろうね。
でもミミイカはホタルイカくらいの大きさ。しかし体幅は倍以上の丸っこいイカ。
しかも一般にイカの耳と言っている部分が大きく丸く両側についてて可愛いのだ。
みっきーまうちゅ
これもまた岩手にいた時の話だが、どうやらこいつも産卵のためにやってくるらしい。
夏の夜になると海面をふよふよと漂ってるので発見したら網ですくうだけ。
動きが鈍いので簡単に捕れる。手の上にのせるとキュポキュポいってこれまた可愛い。
 丸のまま衣をつけてゲソ揚げのように揚げて食べるとかなりイカス(爆発に注意)
細長くヌルヌルコリコリした卵を孕んでいるのでこれまた良い。つまみに最高。
煮物揚げ物炒め物いろいろ試したけど、生きたまま煮立ったラーメンのスープに
入れた時はイカスミでスープが真っ黒になってイマイチだった。
 夜釣りしてて暇な間に海面を眺めてると適当に捕れて且つ美味い御手軽な食材でした。

記 2000.01.25


カクレガニsp.+α
 知らない人はなんのこっちゃ?と思うかもしれないけど、カクレガニは○○○ピンノってのが多いけど、
判りやすくいうと、ここでいうのはアサリに寄生するカニです。アサリの味噌汁とか食べてると
時々小さなカニが入っているのに気づいたことがありませんか?アレです。
 柔らかいので、アサリの膜の中にいたりするものは、みんなも気づかず食べてしまってるはずです。
でも、自分はなんか気になるのでいつもチェック入れてるんですが、ある日、あるものを見つけた。
それが「+α」なんですが、寄生ガニ「ピンノ」にフクロムシが寄生していたんです。
フクロムシは最近「たけしの万物創世記」でも紹介されてたので知ってる人も多いでしょう。
寄生した宿主の神経系をも支配して行動まで操ってしまう・・・っていう、アレです。
アサリに寄生ガニが入っている確立が結構低いのに、更にソレに寄生するフクロムシはもっと少ないです。
それでも、たま〜〜〜に見つかるので、きっとみんなも食べてることでしょう( ̄ー ̄)
べつに、熱が通ってりゃあタダのタンパク質かなんかなのでオレっちは見つけても食べちゃいますがね。
 
 どうせちっこいので味なんてわかりませんが、一応ネタとして。
ちなみに最初に確認したのは1993年1月5日味噌汁から。高校生の頃でした。まだ標本で保管してあります。

記 1999.06.21