1台のコンピュータ上で複数のOSやサーバを稼働させる「仮想化技術」に注目が集まっている。仮想化技術を活用すれば、別々のコンピュータで稼働していたシステムを1台に集約できるため、新しいOSのテスト環境や開発環境を手軽に構築できるなど、メリットは大きい。本書では、仮想化技術の概要の解説に続き、実際にさまざまなOSの混在環境を構築するための方法を紹介している。「VMware Player/Server」「Virtual PC」「Parallels 　Desktop」「KVM」「Xen」といった代表的な仮想化ソフトウェアを使った実例がまとめられている。

　Web 　2.0によってインターネットのコミュニティが変化し、会員紹介制のSNS「mixi」は、会員数600万人を超えた。その一方で携帯端末SNS、ブログとSNSを融合したミニブログなど新しいサービスも生まれている。本書では、SNSの草創期から第3世代と言われる現在までの変遷、そしてヘビーユーザーが語るその魅力を紹介している。また、コミュニティでのトラブルやプライベート情報流失の危険性など、SNSの“影”の部分にも触れており、「SNSの研究」という書名にふさわしい内容となっている。

　PDA（携帯情報端末）や携帯電話がIPアドレスを必要とする日が目前の今日において、IPv4ではアドレス空間が絶対的に不足している。そこで、次世代インターネットプロトコル「IPv6」への移行が不可欠となってきた。本書は、現行のIPv4インフラストラクチャにIPv6を導入するためには、どのように計画・設計・統合していくべきかを解説している。また、IPv6の新しい仕組みや機能を網羅しており、IPv6対応アプリケーションについても言及している。IPv6の導入を検討している人にとって、本書がバイブルとなることはまちがいないだろう。

　テレビ業界は、“最後の護送船団”と言われている。政府の許認可が必要な事業であるため、だれでも参入できるわけではない。しかし、地上デジタル放送が開始され、放送法や著作権法の改正、光ファイバ網の整備など、ソフト／ハード面の進化によって、テレビの視聴スタイルが多様化してきた。その結果、テレビ業界では、視聴率ベースの広告料金体系が維持できなくなってきた。その一方で、インターネットの世界ではロングテール現象が起こり、ネット広告市場は急成長を遂げている。本書は、そうした時代の流れをわかりやすく解説した一冊だ。

　本書は、よい意味でのハッキング手法を紹介することで、ハッカーのクリエイティブ精神を広く浸透させるオライリーHacksシリーズのネットワークセキュリティ第2版である。UNIX系 OSおよびWindows対応のツールを使った116種類ものセキュリティテクニックを紹介している。本書を読破すれば、攻撃からサーバやネットワークを守る方法を学ぶことができるだろう。設定方法とツールの実践的な使い方や防御方法などが中心となっており、実際にサーバやネットワークの運用管理を担当している人にはお勧めの一冊である。

　本書は、研究者でジャーナリストである著者が2004年8月にスタートした、「池田信夫blog」の記事を加筆・修正したものである。インターネットの普及による社会の変化、そしてWeb 2.0の台頭により情報流通の方法が大きく変化し、メディアの意義や社会の枠組みまでもが変わろうとしている。本書では、グーグルやユーチューブが躍進した背景を分析するとともに、マスメディアの没落、集権型から分散型、官僚組織の実情、メディア界の既得権など、さまざまな問題点を指摘しながら新しい変革の先を読み解いている。