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通信・ネットワークの深層

第18回 モバイルセントレックスの主導権争い! 勝利の女神はだれに微笑むのか!?

一丸智司
2005年1月18日更新
2004年7月号の本連載「NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンに降りかかる試練」では、携帯電話会社が法人市場に本格的に攻め入ろうとしていることについて触れた。今回は、それについてもう少し詳しく解説してみたい。というのも、携帯電話会社が法人市場に参入するための切り札となる「モバイルセントレックス」と呼ばれるサービスの概要が各社から発表されたからだ。コンシューマー市場が飽和状態になりかけている現在、携帯電話会社にとってこの市場が新たな主戦場となるのだ。
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社外では通常の携帯電話、
社内では内線電話として使用可能に

 セントレックスと聞くと、IPセントレックスを連想する人が多いだろう。セントレックスとは、内線交換を行うための交換機を自分たちで保有せず、第三者によって提供される交換機能サービスを利用する形態を意味する。このIP版となるIPセントレックスは、自分たちでIP電話機とIPネットワークだけを保有し、セントレックスサービスを提供する通信事業者やインターネットサービスプロバイダー(ISP)に自分たちのIPネットワークを接続することで、内線どうしの交換や外線との接続を行う形態になる。もちろん、サービス提供者側にはSIP(Session Initiation Proto col)サーバが設置されている。

 実は、20年以上前にも、ユーザー企業側がPBXを保有せずにNTTの交換機に電話機を直接接続し、その交換機で内線どうしの交換を行うサービスが提供されており、これをセントレックスサービスと呼んでいた。モバイルセントレックスでは、その電話機が携帯電話となり、PBXはもちろん、配線までもユーザー企業側が保有する必要がなくなるのである。

 内線として使用する携帯電話は、社外に持ち出せば通常の携帯電話として使用できる。現在ほとんどの企業では、特に外回りの多い営業マンにとっては、携帯電話は必要不可欠な通信手段となっている。その携帯電話が、社内に持ち帰ったときに内線電話として使えるというイメージのほうがわかりやすいかもしれない。

モバイルセントレックスと言っても
構成は各社さまざま

 一口にモバイルセントレックスと言っても、実際には、携帯電話会社によって形態がまったく異なる。また、内線専用の無線LAN電話端末を用いる方式もあるため、モバイルセントレックスとは何なのかがつかみにくい状況となっている。

 KDDIは、社内・社外を問わず、すべての通話を携帯電話の通信方式で実現する「OFFICE WISE」というサービスを11月30日より開始する。現在使用しているauの携帯電話をそのまま使用できるのが特徴だ。内線として使用する場合は、社内にミニ基地局を設置するとともに、社内通話を交換するためのミニ交換機を設置する。社内に持ち込まれた携帯電話は、ミニ基地局経由でミニ交換機に接続する。内線どうしの通話はミニ交換機で交換されるため、外部にトラフィックが出ていくことはない。また、内線交換で必要となる転送やピックアップといった機能もミニ交換機で実現される。同社では、内線相互通話の通信料金を定額制とする計画だ。なお、社内から外線に発信する場合は、ミニ交換機経由で行われる。

 この方式では、ミニ基地局やミニ交換機を設置するための工事が必要となる。そこでKDDIでは、au携帯電話を1,000台以上契約する法人ユーザーが対象になると発表している。だが、さらに小規模向けのサービス提供も計画しているようだ。

 それに対してNTTドコモが提供する方式は、外線では携帯電話の通信方式だが、内線では無線LAN技術を使用し、SIPを用いたVoIP(Voice over IP)となる。この方式で使用する携帯電話は、本来の携帯電話による通信機能のほかに、無線LANによる電話機能も搭載する必要がある。したがって、両方の通信機能を搭載した端末を新規に導入しなければならない。

 この方式の利点は、社内に無線LANのインフラとSIPサーバを構築するだけで済み、そのSIPサーバを用いれば有線のIP電話とも共存できることである。NTTドコモとしては、この機能を搭載した携帯電話端末をFOMAでのみ提供するようである。

 一方、内線専用の無線LAN電話端末を用いる方式は、単にIP電話端末が無線LAN対応になったものと考えればよい。KDDIやNTTドコモが提供する方式ではある程度の初期費用が発生するが、運用開始後に発生するコストは基本的にサービス料金のみとなる。そのため、減価償却のようなものがほとんど発生せず、ユーザー数の増減にも柔軟に対応できる。しかし、内線専用の無線LAN電話端末を用いる方式では、自社設備を購入する形態となる。そのため、KDDIやNTTドコモが提供する方式のほうが、よりセントレックスということばに近いイメージとなる。

第1回 IPセントレックスブームの火付け役はYahoo! BB!?

第2回 広域EthernetにADSLのアクセス回線メニューが登場

第3回 NTT東西による電話接続料金の値上げが認可されたのはなぜか!?

第4回 企業がYahoo! BBを導入する時代がやって来る!?

第5回 簡単・安全・安価と言われるインターネットVPNに一言

第6回 接続料値上げ訴訟の背後に潜む新電電5社の建前と本音

第7回 法人向けの通信サービスを提供するキャリアが多すぎる!

第8回 企業にとってVoIP導入は時期尚早か!?

第9回 ソフトバンクBBは企業向けIP電話でも成功するか!?

第10回 いよいよ電気通信事業法が改正される

第11回 通信事業者 vs. メーカー企業向けIP電話の顧客争奪戦が始まった

第12回 今後大きく飛躍するベンダーと不景気から脱せないベンダーの見分け方

第13回 ネットワークがインフラでなくなる日が近づいている!?

第14回 NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンに降りかかる試練

第15回 さらに規模が縮小したNetWorld+Interop Las Vegas 2004

第16回 通信業界に激震! ソフトバンクが日本テレコムを買収

第17回 ソフトバンクの次なる一手を大胆予測

第18回 モバイルセントレックスの主導権争い! 勝利の女神はだれに微笑むのか!?

第19回 モバイルセントレックスのキラーアプリケーションを探せ!

第20回 NTTの"聖域"がついに侵された! 基本料値下げと加入権の段階的廃止

第21回 通信・ネットワーク業界はどうなる? 激動の2004年を総括

第22回 ニッポンの携帯電話はどうなる? 800MHz帯を巡る攻防

第23回 エンドポイント型のソリューションが システム構築のスタイルを変える

第24回 通信事業者を脅かすSkypeのインパクト

第25回 通信事業者が生き残るには “てら銭ビジネス”の拡大が不可欠!?

第26回 「インターネットと放送の融合」に テレビ局が弱腰になるほんとうの理由

第27回 NTTの接続料改定を巡る行政訴訟に判決 東京地裁、新電電5社の訴えを棄却

第28回 電力線通信(PLC)は普及するのか? 使う理由はどこにある?

第29回 Skypeで050番号が利用可能になると 通信事業者は損か、得か?

第30回 KDDIによるパワードコムの吸収合併で 通信業界の再編は収束するか!?

第31回 通信事業者の過当競争収束後に ネットワーク設計で重要になること

第32回 日本版SOX法の施行に備えて 何を準備しておくべきか?

第33回 楽天とTBSが和解協議へ!「ネットと放送の融合」はどうなる!?

第34回 企業にとって2006年の最重要テーマはコンプライアンス(法令順守)対応

第35回 携帯電話のオープン化により新たな戦いが幕を開ける

第36回 携帯電話のオープン化によってユーザーの利便性はどう変わるのか?

第37回 インターネットを巡る新たな論議「インフラただ乗り論」に物申す!

第38回 Asteriskは企業電話に革命を引き起こすと期待されているが…

第39回 KDDIとグーグルが提携その真意はいかに!?

第40回 日米Interopを比較すればネットワークの未来が見えてくる

第41回 NGNによって通信事業者は幸福になれるのか?

第42回 企業システムの視点から見た「Web 2.0」

第43回 ソフトバンク・孫正義氏の次なる一手を読む

第44回 ソフトバンクはどうすれば法人市場を攻略できるのか?

第45回 IP電話が企業に浸透しないほんとうの理由

第46回 NGNは企業に幸福をもたらすか?

第47回 躍進するアップルと 戦略に黄信号が灯るマイクロソフト

第48回 進化する認証技術 用途や目的に応じて使い分けが必要

第49回 内部統制時代にふさわしい アクセス制御技術の選び方

第50回 YouTubeのインパクト 動画がネット文化を変える

第51回 正念場を迎える通信事業者とネットワークベンダー

第52回 Web 2.0をどうやってビジネスに生かすか?

第53回 エンタープライズ市場に進出する グーグルに勝算はあるのか?

第54回 SaaS時代を生き抜くために ユーザー企業が考慮すべきポイント

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