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通信・ネットワークの深層

第10回 いよいよ電気通信事業法が改正される

一丸智司
2005年1月10日更新
まもなく電気通信事業法が改正される。通信・ネットワークの世界の劇的な変化により現行法が“時代遅れ”となったため、改正せざるをえなくなったと言ったほうが正確かもしれない。今回は、この法改正がユーザー企業と通信事業者の双方にもたらす影響を分析してみたい。果たして、ユーザー企業にとっては通信コストのさらなる削減に結び付くのだろうか。また、これを機に勢力を拡大する通信事業者はあるのだろうか。
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第一種通信事業者には
値引きが認められていなかった

 電気通信事業法は、NTTの民営化と通信事業への新規参入が始まった1985年に施行された。当時は、通信インフラを構築できる通信事業者はごく一部の大手のみであり、簡単には新規参入できないであろうと考えられていた。通信インフラを構築するには、光ファイバなどを敷設したり、通信事業者向けの高価な通信設備を導入したりする必要があったためだ。

 通信インフラを保有する事業者は第一種通信事業者と位置付けられ、あらゆる通信事業の根底を提供することから公益事業特権が与えられた。また、全国規模でサービスを提供しなければならず、サービスメニューは認可制とされた。

 それに対して、通信インフラを保有せず、第一種通信事業者から借り受けることによって通信サービスを提供する事業者は、第二種通信事業者として位置付けられた。当時盛んにビジネスを展開していたVAN(Value Added Network)会社がまさにこれである。

 ところが、通信のIP化という新しい潮流が生まれ、IP用のネットワーク機器の高性能化と低価格化、さらには光ファイバやメタル回線の借り受けが可能になるなど、第二種通信事業者は第一種通信事業者のメニューに拘束されることなく安価なサービスを提供できるようになった。また、第一種通信事業者への新規参入もしやすくなり、その結果として現在のような通信事業者間の“過当競争”に発展したわけである。

 現行法では第一種通信事業者は値引きができないが、実際にはダンピングとも思えるような値引き合戦が行われている。第一種通信事業者は第二種通信事業者を子会社として持ち、そこからユーザーにサービスを提供する形で値引きを行っているのだ。

 こうして第一種通信事業者にとって第二種通信事業者も競合相手になったことで、値引き競争に拍車がかかった。特に、第二種通信事業者が従来個人向けに提供してきたインターネット接続メニューを企業向けのサービスとして破格的な価格で提供を開始すると、企業向け回線メニューの価格は坂道を転げ落ちるように値下がりしていった。

価格設定時にも
総務省に説明する義務があった

 もともと第二種通信事業者では、第一種通信事業者が行うような全国網のサービスは提供不可能だろうと考えられていたが、実際にはYahoo! BBのような全国規模のサービスを提供する新興企業が出現し、第一種通信事業者と対等またはより優位にビジネスを展開するようになった。

 もともと第二種通信事業者は、第一種通信事業者のような公益性がないと考えられていたため、提供地域を独自に設定でき、ユーザー保護の義務もない。サービスメニューも自由に設定でき、しかも認可が不要なため迅速にサービスを提供開始できる。ユーザーの立場からは、Yahoo! BBとフレッツADSLのサービスは本質的にはほぼ同じように見えるが、このような事情があるため、法律上はまったく異なる土俵の上に成り立っているのである。

 また、第一種通信事業者はサービスの価格を決める際、“原価に応じて適正であること”が求められる。要するに、総務省に対して「なぜこのような価格になるのか」を説明しなくてはならないのだ。そのため、一般企業のように“戦略的な価格設定”を行うことができない。

 例えば、現在の市場規模では赤字になってしまうが、数年以内にユーザーが急激に増え、ある程度の規模になった時点で黒字になることが見込まれていたとしよう。この場合、一般企業なら、サービス開始当初から黒字となるような高めの価格設定ではユーザーを獲得できないため、あえて最初の1年間は赤字覚悟でスタートするというような戦略に出るだろう。しかし、第一種通信事業者は、この“あたりまえ”の戦略が採れないのだ。

 これに対して、第二種通信事業者にはこのような制約がない。確かヤフーはYahoo! BBのサービス開始時、契約件数が200万に到達した段階で黒字になるとコメントしていたが、これこそが戦略的な価格設定である。それに対して、NTT東日本がBフレッツの値下げを行ったときは、光の多重度を4から8に変更するためコストが安くなるといったような説明を総務省に対して行っていた。

第1回 IPセントレックスブームの火付け役はYahoo! BB!?

第2回 広域EthernetにADSLのアクセス回線メニューが登場

第3回 NTT東西による電話接続料金の値上げが認可されたのはなぜか!?

第4回 企業がYahoo! BBを導入する時代がやって来る!?

第5回 簡単・安全・安価と言われるインターネットVPNに一言

第6回 接続料値上げ訴訟の背後に潜む新電電5社の建前と本音

第7回 法人向けの通信サービスを提供するキャリアが多すぎる!

第8回 企業にとってVoIP導入は時期尚早か!?

第9回 ソフトバンクBBは企業向けIP電話でも成功するか!?

第10回 いよいよ電気通信事業法が改正される

第11回 通信事業者 vs. メーカー企業向けIP電話の顧客争奪戦が始まった

第12回 今後大きく飛躍するベンダーと不景気から脱せないベンダーの見分け方

第13回 ネットワークがインフラでなくなる日が近づいている!?

第14回 NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンに降りかかる試練

第15回 さらに規模が縮小したNetWorld+Interop Las Vegas 2004

第16回 通信業界に激震! ソフトバンクが日本テレコムを買収

第17回 ソフトバンクの次なる一手を大胆予測

第18回 モバイルセントレックスの主導権争い! 勝利の女神はだれに微笑むのか!?

第19回 モバイルセントレックスのキラーアプリケーションを探せ!

第20回 NTTの"聖域"がついに侵された! 基本料値下げと加入権の段階的廃止

第21回 通信・ネットワーク業界はどうなる? 激動の2004年を総括

第22回 ニッポンの携帯電話はどうなる? 800MHz帯を巡る攻防

第23回 エンドポイント型のソリューションが システム構築のスタイルを変える

第24回 通信事業者を脅かすSkypeのインパクト

第25回 通信事業者が生き残るには “てら銭ビジネス”の拡大が不可欠!?

第26回 「インターネットと放送の融合」に テレビ局が弱腰になるほんとうの理由

第27回 NTTの接続料改定を巡る行政訴訟に判決 東京地裁、新電電5社の訴えを棄却

第28回 電力線通信(PLC)は普及するのか? 使う理由はどこにある?

第29回 Skypeで050番号が利用可能になると 通信事業者は損か、得か?

第30回 KDDIによるパワードコムの吸収合併で 通信業界の再編は収束するか!?

第31回 通信事業者の過当競争収束後に ネットワーク設計で重要になること

第32回 日本版SOX法の施行に備えて 何を準備しておくべきか?

第33回 楽天とTBSが和解協議へ!「ネットと放送の融合」はどうなる!?

第34回 企業にとって2006年の最重要テーマはコンプライアンス(法令順守)対応

第35回 携帯電話のオープン化により新たな戦いが幕を開ける

第36回 携帯電話のオープン化によってユーザーの利便性はどう変わるのか?

第37回 インターネットを巡る新たな論議「インフラただ乗り論」に物申す!

第38回 Asteriskは企業電話に革命を引き起こすと期待されているが…

第39回 KDDIとグーグルが提携その真意はいかに!?

第40回 日米Interopを比較すればネットワークの未来が見えてくる

第41回 NGNによって通信事業者は幸福になれるのか?

第42回 企業システムの視点から見た「Web 2.0」

第43回 ソフトバンク・孫正義氏の次なる一手を読む

第44回 ソフトバンクはどうすれば法人市場を攻略できるのか?

第45回 IP電話が企業に浸透しないほんとうの理由

第46回 NGNは企業に幸福をもたらすか?

第47回 躍進するアップルと 戦略に黄信号が灯るマイクロソフト

第48回 進化する認証技術 用途や目的に応じて使い分けが必要

第49回 内部統制時代にふさわしい アクセス制御技術の選び方

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