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複数の事業所にそれぞれPBXが存在する場合は、PBXの専用線インタフェースにVoIPゲートウェイを接続することで、PBXは専用線を使用していたときと同じ機能を利用できる。また、図1の「VoIP導入後」の構成の「支店」のように、PBXの内線をIP網で延長できるユニットを提供しているPBXもある。 IP網は、契約速度が上がるほど速度当たりの単価が割安になっていく。したがって、すでにデータ通信用としてIP網を利用している場合は、新規に音声専用のネットワークを用意するよりも、音声通話に必要な通信速度を既存のデータ通信網に増速することによって、割安に利用することが可能だ。 もっとも、データ通信ではバースト的に大量のデータが送信されることがあるため、瞬間的にネットワークの帯域を100%使用してしまうことがある。したがって、リアルタイム性が要求される音声系のパケットを同じネットワークに相乗りさせる場合は、音声パケットを優先的に伝送するよう優先制御を行う必要がある。 データ通信の場合は、大量のトラフィックが発生しても単に送信完了までの時間が長くなるだけだが、リアルタイムに伝送する必要のある音声データは、最大同時接続数に応じた帯域を常に確保していないと、ピーク時にすべての通話の品質が一斉に悪化するおそれがあるので要注意だ。 また、音声通信のボリュームが多い場合は、音声を圧縮して通信速度を落とさないとコストメリットが出ないことがある。このほか、データ通信のピーク対策や音声接続リンク数の制限を行うなど、運用上の注意も必要である。 音声とデータを統合せず
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このようなサービスを利用した場合は、IP電話の通信に必要なVoIP網の帯域をISPが用意することになるため、ユーザー企業が同じ帯域をIP-VPNなどで確保するよりも割安になるというメリットがある。
IP電話サービスでは、VoIPゲートウェイとして専用のテレフォニアダプタを使用する。テレフォニアダプタのPBX側インタフェースは、一般の電話網と同じ加入者インタフェースになっている。このため、専用線として使うのではなく、事業所間を公衆網経由で通話するのと同じ接続形態となる。同じISPまたは提携ISPのIP電話どうしの通話は無料であるため、事業所間の通話コストは固定の月額利用料のみとなる。
IP電話サービスの利用は、サテライトオフィスのような小規模事業所がある場合も、事業所間の通話コスト削減に有効だ。事業所から直接インターネットに接続していない場合は、IP電話だけのためにインターネット接続料まで合わせて負担する必要があるが、市外通話が多く月額の通話料金が高い場合には、それでもコスト削減になることがあるので、試算することをお勧めする。
既存の電話設備をリプレースして音声とデータを統合する場合は、次のようなVoIP機器を導入す驕B
●VoIPゲートウェイ(PSTNゲートウェイ)
●ソフトスイッチ(SIP呼制御サーバ)
●メディアサーバ(音声、FAX、ビデオ)
●IP電話機またはソフトフォンが稼働するPC
従来のPBXが、呼制御、回線インタフェースの変換、音声信号のスイッチング、音声ガイダンスの再生などの処理を単体で行っていたのに対して、この場合のVoIP環境では、図3のように各要素がネットワークを介して分散し、システム全体でIP-PBXとして機能する。
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一般の電話回線からの音声はVoIPゲートウェイとして機能するPSTN(Public Switched Telephone Networks)ゲートウェイでIP化され、LAN経由でIP電話機やPC上のソフトフォンに接続される。電話網から着信した際、VoIPゲートウェイがIPに変換した音声パケットをどのIP電話に接続するかを制御するのがソフトスイッチだ。従来のPBXはすべての局線と内線を収容し、PBX内部で音声信号のスイッチング処理を行っていたが、この構成の場合には、音声信号は呼の接続制御を行っているサーバ(ソフトスイッチ)内には入らず、LANで直接目的の相手に伝送される。つまり、ソフトスイッチは単に“交通整理”を行うだけなのだ。
接続制御だけならVoIPゲートウェイとソフトスイッチで足りるが、PBXはこのほかに「音を出す」「検出する」「録音する」といった音声メディアの制御機能を搭載している。保留したときの音楽の送出や案内メッセージの再生、PB(プッシュボタン)信号の検出、伝言の録音、会議通話のための音声のミキシング機能などだ。こうした機能はメディアサーバによって実現される。
例えば、外部からの着信にいったん自動応答し、用件をPB信号で選択してもらってから目的の電話機を呼び出すような場合、ソフトスイッチはVoIPゲートウェイに対して着信呼をメディアサーバに接続するよう通知する。その後、ソフトスイッチはメディアサーバに対して音声ガイダンスを流すなどの応答フローの制御を行い、接続先が特定されると、ゲートウェイからメディアサーバに向けて接続されていたVoIPのパスをIP電話機側に切り替える。
既存のLANにVoIPで音声パケットを伝送した場合、データ通信では問題なく運用していても問題が発生するケースがある。音声通信では、一般のデータ通信よりもリアルタイム性が要求されるからだ。
既存のLAN環境をそのままVoIPで利用する場合は、10Mbpsのハブが混在していたり、部署の拡大や統廃合によりルータやハブが多段接続されていたりすることが多く、思わぬところで遅延や再送が多発しているケースが見受けられる。データ通信では自動的にリトライが行われるためエラーにならず、問題が見過ごされる可能性が高い。そのようなLANに音声パケットを流すと、音声の途切れや通話の切断が“ときどき起きる”という問題が発生することがあるのだ。
このため、事業所内でVoIPを導入する場合は、事前にLAN環境全体を徹底的に調査するべきである。できればオフィス移転などの機会に新規に置き換えることが望ましい。ただし、オフィス移転などの場合は、VoIPの導入により電話の配線は不要になるが、その代わりLAN環境の整備が必要となり、導入コストだけを見るとPBXを導入するよりも高くなってしまうことが一般的だ。
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