スイッチにおける
フレームの転送方法は3つある
ブリッジでは、届いたフレームをストア&フォワード方式で転送する。ストア&フォワード方式は、フレームをいったんメモリ上に保存(ストア)してから、MACアドレステーブルを検索して転送(フォワード)するというものだ。一度メモリ上に保存することで、EthernetフレームのCRC(Cyclic Redundancy Check)を使ったエラーチェックができるというメリットがある。しかし、メモリに保存する手順が追加されるため、転送速度が遅くなるというデメリットが存在する。
スイッチには、このストア&フォワード方式に加えて、カットスルー方式とフラグメントフリー方式がある。それぞれについて説明しよう。
遅延を最小限に抑える
カットスルー方式
フレームを転送する先のポートは、フレームの先頭6バイトにあるMACアドレスを参照してMACアドレステーブルから探し出す。つまり、先頭を読み込めば転送先がわかるということだ。この理論に基づき、カットスルー方式では先頭6バイトだけを読み込んで宛先ポートを割り出し、すぐに転送を開始する。フレームすべてを読み込まなければ転送準備が整わないストア&フォワード方式と比べて、遅延を大幅に削減できるメリットがある。MACアドレステーブルを検索しても宛先が見つからない場合は、ストア&フォワード方式と同じく、フレーム全体を読み込んでから入ってきたポート以外のポートすべてにフラッディングを実行する。
この方式のデメリットは、フレームの先頭しか見ていないため、エラーがあった場合でも転送してしまうということだ。その結果、無効パケットを送信して余計なトラフィックを発生させてしまう可能性もある。
エラーチェックを行いながら速度を確保
フラグメントフリー方式
一方のフラグメントフリー方式は、ある程度のエラーチェックを行いつつ、ある程度の転送速度を確保するという、ストア&フォワード方式とカットスルー方式の中間的存在にあたる。
フラグメントフリー方式では、Ethernetフレームの最小サイズである64バイトを読み込んでエラーチェックを行い、問題なければ転送を開始する。Ethernet規格では、フレーム長の64バイトが送信される間に電気信号がケーブル端まで届くよう規定されており、コリジョン(衝突)が発生するのはこの間だけとなっている。つまり、64バイトに対してエラーチェックを行えばコリジョン発生によるエラーフレーム送出を防ぐことができ、トラフィックを圧迫する原因を排除できるということだ。
ただし、転送速度はカットスルー方式よりも遅く、衝突フレーム以外のエラーチェックは行えないというデメリットがある。
以上、どの転送方式を採用しているかはスイッチの機種によってさまざまだ。最近では、最初にカットスルー方式で転送速度を確保し、エラーの発生率が高くなってきたら自動でストア&フォワード方式に切り替えるという機種もある。
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