パケットが永遠ループ
ブロードキャストストーム
ネットワークに初めて接続したPCなどは、設定情報を自動取得するためにブロードキャストをネットワーク全体に投げる。手動でそれぞれ設定する必要がないため、管理者にとっては便利な機能だが、例えば複数のスイッチを導入している場合に起こりうる問題がある。
図1のネットワーク例を見てみよう。スイッチA、B、Cが接続されており、それぞれのスイッチにはPC-A、PC-B、PC-Cが接続されている。このとき、PC-Aがブロードキャストを送信したとする。スイッチAはブロードキャストを受信すると、PC-Aが接続されているポート以外のすべてのポートへブロードキャストを送信する。この送信処理を「フラッディング」と呼ぶが、これを受信したスイッチBとスイッチCは、ブロードキャストが入ってきたポート以外のポートへとフラッディングする。
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図1● スイッチAを介して出されたブロードキャストは、スイッチBとCへフラッディングされ、スイッチBとCもそれぞれフラッディング処理をする。その結果、ブロードキャストがループしてネットワークはブロードキャストで圧迫される |
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問題は、スイッチAも自分が送信したブロードキャストであっても、違うポートから入ってきたブロードキャストについては別物と認識し、ほかのスイッチと同様のフラッディング処理をする。その結果、ブロードキャストは永遠にネットワーク内をループすることになってしまう。ブロードキャストがループすることを「ブロードキャストストーム」と言うが、まさにネットワーク内にブロードキャストの嵐が巻き起こり、通信の著しい低下を引き起こすのだ。
これを防ぐには、例えば今回の場合であればスイッチAとスイッチCをつなぐポートをブロックするればよい。このように、適切なポートをブロックすることでブロードキャストストームを発生させない仕組みが、「スパニングツリー」である。次回は、スパニングツリーについて解説していく。
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